地域や業界の特定退職金共済制度に加入して年金を増やす方法とメリット

公開日:2014年10月28日

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自営業者が年金を増やす方法として小規模企業共済、中小企業に勤める人が退職金を得る方法として中小企業退職金共済を紹介しましたが、その他にも都道府県や各業界団体が退職金積立制度を用意しています。

例えば東京23区内で事業をしている企業が加入することのできる、東京商工会議所が運営する特定退職金共済などがあります。

特定退職金共済は特定退職金共済制度という国の定めた制度に則って制度設計がされており、他の商工会議所などが提供している特定退職金共済も内容はほぼ同じです。東京商工会議所の特定退職金共済を例にして内容を見ていきましょう。


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東京商工会議所が運営する特定退職金共済

東京商工会議所が運営する特定退職金共済に加入(契約)することができるのは、東京23区内で事業を営む事業主である必要があり、事業主が共済契約者となって共済と契約をします。

事業主が共済と契約をすることで、そこで働く従業員が共済に加入することができます。基本的に共済と契約した企業(事業主)はすべての従業員を共済に加入させないといけません。

加入させなくてもよい従業員は、期間を定めて雇用している従業員やパートタイマー、非常勤の従業員などで、正社員のように労働機関の定めなく常に働いている人たちは加入させないといけません。

■共済と契約しても事業主が共済に加入させなくてもよい従業員

  • 期間を定めて雇われている人
  • 季節的な仕事のため雇われている人
  • 試用期間中の人
  • 非常勤の人
  • パートタイマーなど労働時間の短い人
  • 休職中の人

また、15歳未満の人や70歳以上の人、事業主自身や事業主と生計を一つにする親族は加入することはできません。

なお、中小企業退職金共済と重複して加入することはできますが、他の特定退職金共済制度と重複して加入することはできません。


特定退職金共済の掛け金

  • 掛け金は月額1,000円から30,000円の間で自由に設定できる

従業員1名につき1口月額1,000円で、1口から30口まで加入することができ、最大で毎月30,000円拠出することができます。上限30,000円の範囲であれば、途中で掛け金を増口させることもできます。

掛け金は全額事業主が負担する必要があり、いかなる理由があっても従業員に掛け金を負担させてはいけません。

掛け金が全額事業主の負担となるので、従業員にとっては嬉しいですが、拠出した掛け金は全額損金の算入が可能になっており非課税になるので、事業主にとっても節税することができるというメリットがあります。


特定退職金共済の給付金

東京商工会議所の特定退職金共済の給付金は、以下の4種類があります。

■給付金の種類

  • 退職一時金
  • 退職年金
  • 遺族一時金
  • 解約手当金

まずは本来の目的である退職金としての給付です。

従業員は退職をした後に東京商工会議所に請求をすることで、退職金の給付を受けることができます。退職金の給付は一時金でもらうことも年金で受け取ることもできます。

なお、年金で受け取るには10年以上の加入期間が必要になります。

また、従業員が共済に加入中に死亡した場合、死亡退職という形になり、退職までの期間の掛け金をもとに遺族へ遺族一時金が支払われます。

東京商工会議所の特定退職金共済における退職一時金、遺族一時金は以下の表のように、加入口数、加入期間に応じて金額が変わっていきます。

■東京商工会議所の特定退職金共済給付額
taisyoku-kyosai01

taisyoku-kyosai02
出典:東京商工会議所

最後に、事情があって途中で解約をした場合、解約手当金という形で従業員に給付がされます。解約手当金の給付額は、解約日を退職日とした場合の、退職一時金の金額と同額になります。


従業員の過去勤務時間の通算

  • 加入前の過去の勤務実績分も通算して拠出することができる

退職金共済制度に加入する際に、すでに長期間働いている従業員がいると、これから掛け金を拠出してもその従業員には大きな額の退職金とならない場合があります。

そのような不足を補うために、過去の勤務時間を計算に入れた「過去勤務掛金」を通常の掛け金と合算して拠出することができます。

事業主は加入前の勤務期間である「過去勤務通算期間」を算出して、10年を上限にして、30口まで拠出することが可能です。

過去勤務時間を算入することで、長期間働いてくれた社員の退職金も準備することができるようになります。


中小企業に勤めるなら特定退職金共済はぜひ活用したい制度

特定退職金共済の例として、東京商工会議所の特定退職金共済の制度内容を見てきました。

本記事では、東京商工会議所の特定退職金共済を紹介しましたが、多くの都道府県や業界団体で特定退職共済を用意しており、制度内容もほぼ同じですので、自分の会社が加入できる共済はないか確認してみると良いと思います。

中小企業退職金共済もそうですが、共済と契約するのは事業主なので、事業主や企業にその気がないとその従業員は加入することはできません。

それでも特定退職金共済は従業員にとっても事業主にとってもメリットの大きい制度なのでぜひ活用したいですね。

  • 中小企業の従業員にとって、特定退職金共済と中小企業退職金共済は心強い味方になるのでぜひ活用したい制度

中小企業退職共済と特定退職金共済は併用することができるので、両方の上限30,000円ずつ拠出をすると、毎月最大60,000円拠出することができます。

仮に20年間毎月6万円で積み立て、3%の年利回りだったとすると、20年後の退職金の額は2,000万円にもなります。

国民年金、厚生年金を含めると、これだけで老後のお金を賄える可能性もあります。

税金を引かれた後の給料から、同じ金額を自分で貯めるのはとても大変です。

所得税、住民税の合計が20%と考えても、中小企業退職共済や特定退職共済なら運用益を差し引いても2割増しでお金を貯めることができることになるので、拠出した金額が全額非課税となる中小企業退職共済や特定退職共済がいかに有利かわかると思います。

  • 自分の会社が中小企業退職共済や特定退職共済に加入していなくても、諦めずに交渉してみる

一般的には大企業の方が給料が高く、福利厚生も手厚くなっており、中小企業に勤める人は何かと不利だと思いがちですが、中小企業の方が有利な点の一つに社長(事業主)との距離の近さがあります。

中小企業退職共済や特定退職共済は便利な制度ですが、会社の協力なくして従業員が加入することはできません。

大企業であればありえませんが、中小企業であれば社長との距離も近く意見を言える人もいると思います。メリットのある制度ですので社員の福利厚生としてこれだけ有利な中小企業退職共済や特定退職共済をお願いすることもできるでしょう。

掛け金が全額損金に算入できるなど企業側のメリットも大きく、給料の一部を共済の掛け金に回しても良いといえば、検討をしてくれない人はまずいないはずです。

すでにあればラッキーですが、ない場合も中小企業ならではの社長との距離の近さを使って、ぜひ特定退職共済に加入してもらい有利に老後のお金を貯めるようにしたいですね。


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