中小企業の味方!「中小企業退職金共済」を活用して年金を増やす方法とメリット

公開日:2014年10月28日

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中小企業退職金共済は、中小企業の従業員向けの年金制度です。

掛け金は全額事業主負担ですので、働いている会社が中小企業退職金共済に加入している方はラッキーで、その会社は従業員の退職金のために積立をしてくれている良い会社といえます。

中小企業退職金共済は受取の際の税金も安いので、メリットの大きい退職金制度です。勤務先が加入していない場合には加入をかけあってみても良いかもしれません。

本記事では、中小企業退職金共済はどんな会社が加入できて、掛け金やどのような退職金の受取方法があるのか、また従業員と企業にどのようなメリットがあるのかを紹介したいと思います。


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中小企業退職金共済の概要

  • 中小企業退職金共済は中小企業向けの退職金制度で、国からの助成もある
  • 加入している企業は、原則すべての従業員を共済に加入させないといけない

中小企業退職金共済は、事業主が雇用する従業員を対象にして中退共・機構と「退職金共済契約」を結ぶことによって開始することができます。

開始後は毎月事業主が掛け金を全額負担して積立をし、従業員の退職時に従業員の請求に基づいて中退共・機構から従業員へ退職金が支払われる制度です。

中小企業向けの退職金制度で、企業は退職金の管理を中退共に任せることができるだけでなく、負担した掛け金は全額損金算入ができ非課税となり、掛け金の一部には国からの助成もあるなど有利な制度です。

どうしても大企業に劣る中小企業の福利厚生面を手厚くして中小企業の雇用を安定させ、かつ従業員の老後資金準備の支援のためにある共済といえます。

中小企業退職金共済に加入できる企業は業種ごとに従業員数や資本金の額に制限があり、以下の条件にあう企業が加入することができます。

■業種ごとの中小企業退職金共済に加入できる企業の条件

業種 常用従業員数 資本金・出資金
一般業種(製造・建設) 300人以下 3億円以下
卸売業 100人以下 1億円以下
サービス業 100人以下 5,000万円以下
小売業 50人以下 5,000万円以下

中小企業退職金共済に加入している企業は、期間を定めた雇用形態の人や休職中の人を除き、原則すべての従業員を中小企業退職金共済に加入させないといけません。

また事業主の人や小規模企業共済制度に加入している人は中小企業退職金共済に加入することはできません。


掛け金と国からの助成金

  • 掛け金は5,000円から30,000円の間で従業員ごとに選択することができる

中小企業退職金共済の掛け金は、5,000円から30,000円までの間の16種類の金額から従業員ごとに選択して拠出することができます。

選択するのは企業なので、従業員の方から選ぶことはできませんが、掛け金は全額非課税になり受け取る際も税金面で有利なので、なるべくたくさんの金額を拠出したいですね。老後の生活を考えると、給与を減らしてでもその分掛け金を増やしてほしいとお願いしても良いかもしれません。

■選択できる掛金月額
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選択した掛け金は全額事業主が負担することになり、掛け金の増額・減額も従業員の同意があるか、厚生労働大臣が認めた場合は行うことができます。

また、短時間労働者の場合には、上記16種類の掛け金のほかに2,000円、3,000円、4,000円の特例掛金月額を選択することもできます。

■特例掛金月額
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中小企業退職金共済は一定の条件を満たすと掛け金に国からの助成があり、助成があるうちは掛け金月額から助成金額を差し引いた額が企業の負担額になります。

国からの助成には「新規加入助成」と「月額変更助成」の2種類があります。

■国から助成金が出る条件

  • 新規加入助成:はじめて中小企業退職金共済に加入する企業の加入後4か月目から1年間
  • 月額変更助成:掛け金月額を増額する場合

新規加入助成は、はじめて中小企業退職金共済に加入する企業の加入後4か月目から1年間は国が掛け金月額の1/2(従業員ごとに上限5,000円)を助成するものです。

■新規加入助成のイメージ
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月額変更助成は、掛け金月額を増額する場合に、増額した金額の1/3を国が助成するものです。18,000円以下の掛金月額から増額する場合が月額変更助成の対象になり、20,000円以上の掛け金から変更した場合には助成の対象になりません。

■月額変更助成のイメージ
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なお、増額分は過去の一番高かった掛け金との差額となりますので、助成金目的で一度減額をして再度増額をしても受けられる月額変更助成は変わりません。


退職金の受取り金額

従業員が退職をして、退職金を受け取る時には、過去の拠出金額と掛け金納月数に応じた退職金を受け取ることができます。

拠出した掛け金は1%程度で運用をする計画になっており、拠出金額+1%の運用益を含めた「基本退職金」と、1%を超える運用益が出た分の累積金額が「付加退職金」としてあり、2つを合計した金額が退職金として支払われます。

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上記の考えをもとに、拠出金額と掛け金納月数に応じて退職金が決まっています。

なお、掛け金の納付期間が1年未満の場合には退職金は受け取れません。また、納付期間が1年以上2年未満の場合、受け取れる退職金額は拠出した金額を下回ります。

  • 納付期間が1年未満の場合、退職金は受け取れない
  • 納付期間が1年以上2年未満の場合、退職金は拠出額を下回る


退職金の受取り方法

退職金の受取方法には、一時金で受け取る「一括払い」か、「分割払い(5年or10年)」、一括と分割の併用である「一部分割払い」から選択することができます。

分割払い、一部分割払いを選択するには、退職日が60歳以上で退職金が一定以上ある必要があります。

■退職金の受取り方法

  • 一括払い
  • 分割払い(5年or10年)
  • 一部分割払い

■分割払いとすることができる退職金額

支払期間 支払回数 分割払い 一部分割払い
5年 20回 80万円以上 100万円以上
(一時金20万円以上、分割払い80万円以上)
10年 40回 150万円以上 170万円以上
(一時金20万円以上、分割払い150万円以上)

一時金で受け取る場合、一般的な退職金と同様に退職所得の扱いになり、税金上とても有利になります。なので、特別な事情がない人は一時金で受け取る方を選択するのがおすすめです。


中小企業退職金共済の企業のメリット

中小企業退職共済の制度の内容を見てきました。

中小企業にもきちんとした退職金制度があることで、従業員の安定化につながりますし、結果的に中小企業の成長にもつながると考えられていて、国も積極的に支援をしていますね。

中小企業に勤務されている人で、自分の働いている会社が中小企業退職金共済に加入していればありがたくその恩恵に預かりましょう。

中小企業退職金共済に加入してなければ、企業側のメリットを説きつつ、「給料を下げても良いので中小企業退職金共済に加入してほしい」と自分の給料を共済の掛け金に回してほしい旨を伝えると、企業も前向きに加入を検討してくれることでしょう。

企業にとっても掛け金は全額非課税となり、国からの助成金があり、従業員の退職金の管理を機構に任せることができ、なにより福利厚生を厚くすることができるなどメリットが多くあるので、悪い話ではありません。

ぜひ加入して従業員の老後のお金の準備の助けにしたいですね。

  • 掛け金が全額損金に参入できて非課税となる
  • 国からの助成金がある
  • 退職金の管理を機構に任せることができる
  • 福利厚生を厚くすることができる


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