個人年金による相続税対策と相続財産としての年金の評価方法
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個人年金保険に加入する理由は老後の生活資金を準備するためという人が多いですが、中には相続税対策で加入する人もいます。
個人年金保険は相続税対策に有効な商品と言われており、以前は死亡時の年金残存期間によって受取年金総額の20-70%が相続財産としての評価額となっていたので、うまく加入すれば相続財産を20-70%へ圧縮することができました。
この評価方法は数ある相続対策の中でもかなり優遇された評価方法だったので、保険会社などは相続対策として受取期間の長い一時払いの個人年金を提案していました。
しかし平成23年に税制改正が行われ、個人年金の相続資産としての評価方法が変更され、相続税対策の効果が小さくなり個人年金保険を活用した相続税対策は有効性が失われました。
個人年金の相続財産としての評価方法
改正後の個人年金の相続財産としての評価は、以下の3つの金額のうち最も高い金額を評価額とすることとなりました。
- 解約返戻金の金額
- 年金を一時金として受け取る場合、一時金の金額
- 予定利率をもとに計算された金額
細かな計算は保険会社の方で行うので私たちがふれることはほとんどありませんが、解約返戻金や一時金の金額などが入っているため、ほとんどの個人年金では受取年金総額と大きく変わらない金額が評価額として算出されることになります。
改正前は最大で20%まで相続財産を圧縮することができましたが、ほとんど節税の効果はなくなってしまったのですね。
贈与税についても同様の考え方で年金の権利評価額が算出されますね。
もちろん相続税には基礎控除がありますので、相続税がかからないことが多いですが、相続税の基礎控除もこれまでの「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」から、平成27年1月以降は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」へと引き下げられるので、今後は相続税がかかる人が増えることになります。
これまで相続税は関係ないと思っていた人も相続税の対象となる可能性があるため注意が必要です。
また改正前に契約をしていた個人年金であっても、今相続が発生した時に採用されるのは当然改正後の評価方法です。
そのため相続税対策のために個人年金保険に加入しているという人は要注意で、自分の契約内容を見直して継続するのか別の相続対策をするのかを検討する必要があります。
自分の死後、家族へお金を残す
税制改正により個人年金が相続税対策の有効な手段と言えなくなってしまいましたが、「残された家族にお金を残す」という観点では確定年金に加入していれば自分が死亡した後も家族に生活資金を年金として残すことができます。
多くの人の場合、相続税対策よりも残された家族にいかにお金を残すかが重要な人が多いと思います。銀行預金という形で残しても良いですが、一度にすべて渡すよりも年金形式で残した方が計画的に利用することができるという考え方もあります。
個人年金は老後の生活資金だけでなく、自分の死後に家族へお金を残す手段としても活用できるので、必要性を感じている人は検討されてみると良いと思います。
自分にあったお金の相談相手を見つける
老後のお金に対する不安を解消するには専門家に相談するのが一番で、特定の金融機関に属さないFPは大切なお金のことを相談する相手にぴったりです。
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