契約者と年金受取人が異なる個人年金保険の契約は贈与税に注意
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個人年金保険には契約者、被保険者、年金受取人という主に3つの名義があり、夫婦間であればそれぞれを自由に設定することができますが、契約者と年金受取人が異なる人の場合、年金の受給が開始されるタイミングで贈与税の対象となってしまうので注意が必要です。
各名義の意味や違いは別の記事で紹介しています。
夫婦で生計を一にしていたとしても贈与とみなされてしまい、所得税も別にかかるので非常にもったいなく、贈与税がかかる仕組みを理解しつつ課税を避けるようにしましょう。
契約者と年金受取人が異なる個人年金保険の契約
契約者と年金受取人が異なる場合、年金受取開始時点で受給する年金の権利評価額に対して一定の贈与税が課税されます。さらに贈与税が課税された後に受け取った年金に対しては通常の所得税もかかります。
個人年金保険の各名義の組み合わせの時の税金について簡単にまとめました。
■名義人の違いによる年金にかかる税金の違い
契約者 | 被保険者 | 年金受取人 | 年金にかかる税金 |
---|---|---|---|
夫 | 夫or妻 | 妻 | 年金受取開始時に権利評価額に贈与税が課税され、毎年受け取る年金に所得税が課税される |
夫 | 夫or妻 | 夫 | 受け取った年金額に所得税が課税 |
妻 | 夫or妻 | 夫 | 年金受取開始時に権利評価額に贈与税が課税され、毎年受け取る年金に所得税が課税される |
妻 | 夫or妻 | 妻 | 受け取った年金額に所得税が課税 |
このように契約者と年金受取人が異なる場合は贈与税だけでなく、年金受取時の所得税もかかるので税金上非常に不利になります。
そのため、特別な事情がない限りは契約者と年金受取人は別にせず、同じ人にしておくのが一般的です。
権利評価額の考え方
個人年金保険に贈与税が課税される際には、年金受取開始時に年金の権利評価額に対して贈与税が課税されることになりますが、権利評価額は以下の3つの金額のうち最も高い金額となります。
■権利評価額の算出方法
- 解約返戻金の金額
- 年金を一時金として受け取る場合、一時金の金額
- 予定利率をもとに計算された金額
実際は保険会社が計算をしてくれるので、私たちが意識することはあまりありませんが、その時点の解約返戻金や一時金の金額に対して贈与税が課税されるということはざっくり理解しておいた方が良いでしょう。
贈与税の税率
契約者と年金受取人が異なる場合、年金受取開始時点で将来受け取る年金の権利評価額がすべて贈与として贈与税の対象になってしまいます。
贈与税の税率は以下のようになっており、贈与金額によって税率が異なりますが、最大50%になっており所得税よりも高くなってしまいます。
贈与額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | – |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,000万円超 | 50% | 225万円 |
仮に年金の権利評価額が1,000万円であった場合、基礎控除110万円を差し引いた890万円に税率40%がかかり、890万円×40%=356万円の贈与税を支払う必要が出てきます。
上述した通り、年金の権利評価額は受け取る年金額とイコールではありませんが、近い金額ですので、受け取るのことできる年金の4割近くが贈与税として持っていかれることになります。
さらに毎年受け取った年金額に対して所得額がかかるので、贈与税が課税されなかった場合と比べて、支払った贈与税の分だけ受け取る金額が少なくなることになります。
年金額が多くなるほど贈与税の税率は高くなってしまいますので、高額な個人年金保険に加入する人ほど注意が必要です。
このように契約者と年金受取人が異なると、贈与税が発生したり、その他のトラブルが発生するもととなりますので、個人年金保険に加入する際は契約者、被保険者、年金受取人は同一人物にしておくのが賢明です。
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