厚生年金の保険料の計算方法と負担のしくみ
別の記事で国民年金の保険料がどのように決まるのかを紹介しました。
本記事では厚生年金の保険料がどのように決まるのかを紹介したいと思います。
厚生年金の保険料は報酬に比例する
国民年金の保険料はどのような人であっても定額の保険料を納める必要がありましたが、厚生年金は報酬に比例して保険料が決まっています。
■厚生年金保険料の計算式
- 給与:標準報酬月額 × 報酬率
- 賞与:標準賞与 × 報酬率
厚生年金の保険料は一定内の報酬額の人ごとに定められた標準報酬月額に決まった報酬率をかけることで算出されます。厚生年金は労使折半で会社が半分を負担してくれるので、半額が自分の給与から天引きされて保険料を納付しています。
賞与についても同じように標準賞与額に対して給与の時と共通の報酬率をかけることで算出して保険料を納付します。
なお、標準報酬月額は以下のように決まっています。
■報酬月額別の標準報酬月額
等級 | 標準報酬月額 | 報酬月額 |
---|---|---|
1 | 98,000円 | ~101,000円 |
2 | 104,000円 | 101,000円~107,000円 |
3 | 110,000円 | 107,000円~114,000円 |
4 | 118,000円 | 114,000円~122,000円 |
5 | 126,000円 | 122,000円~130,000円 |
6 | 134,000円 | 130,000円~138,000円 |
7 | 142,000円 | 138,000円~146,000円 |
8 | 150,000円 | 146,000円~155,000円 |
9 | 160,000円 | 155,000円~165,000円 |
10 | 170,000円 | 165,000円~175,000円 |
11 | 180,000円 | 175,000円~185,000円 |
12 | 190,000円 | 185,000円~195,000円 |
13 | 200,000円 | 195,000円~210,000円 |
14 | 220,000円 | 210,000円~230,000円 |
15 | 240,000円 | 230,000円~250,000円 |
16 | 260,000円 | 250,000円~270,000円 |
17 | 280,000円 | 270,000円~290,000円 |
18 | 300,000円 | 290,000円~310,000円 |
19 | 320,000円 | 310,000円~330,000円 |
20 | 340,000円 | 330,000円~350,000円 |
21 | 360,000円 | 350,000円~370,000円 |
22 | 380,000円 | 370,000円~395,000円 |
23 | 410,000円 | 395,000円~425,000円 |
24 | 440,000円 | 425,000円~455,000円 |
25 | 470,000円 | 455,000円~485,000円 |
26 | 500,000円 | 485,000円~515,000円 |
27 | 530,000円 | 515,000円~545,000円 |
28 | 560,000円 | 545,000円~575,000円 |
29 | 590,000円 | 575,000円~605,000円 |
30 | 620,000円 | 605,000円~ |
出典:日本年金機構
厚生年金保険料率の推移
厚生年金の保険料率は、一定ではなく年金財政の収支に合わせて検討され決まっています。2004年の年金制度の改正からは国民年金と同じく保険料率の上限を設けた上で段階的に引き上げが行われています。
■厚生年金の保険料率の引き上げイメージ
出典:日本年金機構
引き上げのイメージは国民年金の保険料と同じですね。
保険料率の引き上げは2004年から0.354%ずつ引き上げられ、2017年以降は上限18.3%で固定されます。
年金制度改正以降の厚生年金保険料率は以下のように推移しています。
■厚生年金保険料率の推移
年度 | 保険料率 |
---|---|
2004年 | 13.934% |
2005年 | 14.288% |
2006年 | 14.642% |
2007年 | 14.996% |
2008年 | 15.350% |
2009年 | 15.704% |
2010年 | 16.058% |
2011年 | 16.412% |
2012年 | 16.766% |
2013年 | 17.120% |
2014年 | 17.474% |
2015年 | 17.828%(予定) |
2016年 | 18.182%(予定) |
2017年 | 18.3%(予定) |
出典:日本年金機構
標準報酬月額が40万円の人であれば1%保険料率が上がると、総額で4,000円、自己負担は2,000円増えることになります。
2004年から2014年では3.5%程度保険料率が増えているので、月額14,000円、年額で168,000円も負担が増えていることになります。(自己負担額は半額)
半額企業が負担してくれてるからいいやと考える人もいますが、当然ながら企業は従業員にかかる給料ではなく、社会保険料も含めたコスト全体を見ています。
厚生年金保険料が増加すると企業の負担も増すので、新規の雇用や給与の増額には消極的になりますので、厚生年金保険料率が上がるのはかなり痛いことです。
サラリーマンも老後のお金をきっちり準備
少子高齢化が進む日本では、現状の年金制度を維持するのが難しいので、給付を減らすか負担を増やすしかありません。そのため厚生年金の保険料率が上がるのも構造上仕方のないことでもあります。
ただし、現役世代は今後負担が増えることも注意しないといけませんが、65歳を迎えていざ年金をもらうタイミングになったら給付水準が下がるという可能性は否定できません。
厚生年金をもらえる会社員の人は比較的年金に恵まれているので、退職金と年金だけで老後のお金は十分と考える人もいますが、少なくとも年金については不確定要素はかなりあります。
現役世代の貯められるうちに公的年金以外の収入や資産を用意しておくことで安心した老後を迎えられるといえます。転ばぬ先の杖として準備をしておいて損はないでしょう。
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