企業年金などを年金でもらった場合と一時金でもらった場合の税金の違い

公開日:2014年11月5日

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企業年金や一部の個人年金では、年金で受け取るか退職金のように一時金で受け取るのかを選ぶことができるものがあります。

一度にもらう方が良いか毎月決まった金額をもらう方が良いかは人によって好みはありますが、年金形式と一時金形式ではかかる税金が異なるので、税金から受取方法を考えることも重要です。

そこで、本記事では企業年金などを年金で受け取る場合と、一時金でもらう場合の税金の違いを見ていきたいと思います。


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年金でもらった場合の税金

年金か一時金か選ぶことができる年金には、企業年金や個人年金、個人型の確定拠出年金があります。

年金形式でもらった場合、税金は企業年金、個人型の確定拠出年金にかかる税金と企業年金にかかる税金は考え方が異なります。

企業年金、個人型の確定拠出年金を年金で受けとる場合、公的年金等控除の対象になり、課税される際には年金収入から一定の控除額を差し引くことができます。

公的年金等控除後の雑所得は年齢、年金額に応じて以下の表の割合をかけて控除することで求めます。

  • 公的年金等控除後の雑所得=年金金額×割合-控除額

■公的年金等控除額

年齢 年金金額 割合 控除額
65歳未満 70万円未満 0% 0円
70万円超130万円未満 100% 700,000円
130万円以上410万円未満 75% 375,000円
410万円以上770万円未満 85% 785,000円
770万円以上 95% 1,555,000円
65歳以上 120万円未満 0% 0円
120万円超330万円未満 100% 1,200,000円
330万円以上410万円未満 75% 375,000円
410万円以上770万円未満 85% 785,000円
770万円以上 95% 1,555,000円

出典:国税庁ホームページ

一方、個人年金の場合は年金で受け取った場合、同じく雑所得となりますが、個人年金の雑所得は支払われる年金の総収入金額から払込保険料などを考慮した経費を差し引いて求めます。

■個人年金の雑所得の考え方

  • 個人年金による雑所得 = 総収入金額 ― 経費
  • 経費 = 年金額 ×(払込保険料の合計額 ÷ 年金の支給見込額)
  • 年金の支給見込額 = 年金金額 × 平均余命

これまで払い込んだ保険料の合計と、支払われる総年金額の差額が雑所得として課税されることになるのですね。

このように、企業年金、確定拠出年金については、公的年金等控除によって支払われる年金すべてではなく、一部の金額だけが課税されることになり、個人年金の場合には支払った保険料と年金額の差額にだけ税金がかかるようになっています。


一時金でもらった場合の税金

一方、一時金で受け取った場合には退職所得として退職控除の対象になります。

退職所得の税金は勤続年数に応じた退職所得控除をした後に、さらに金額を2分の1にしてから税率をかけることになるので、大きな節税メリットがあり、収入額に対する税金の額は少なくなります。

■退職金の税金の計算式

  • 退職金にかかる税金:(退職金額 - 退職所得控除)× 1/2 × 税率 - 控除額

退職所得控除は勤続年数20年までは勤続年数ごとに40万円、20年以上の勤続年数には勤続年数ごとに70万円の控除を受けることができます。

■退職所得控除の金額

  • 勤続年数20年以下:40万円×勤続年数
  • 勤続年数20年超 :800万円+70万円×(勤続年数-20年)

そのため、23歳から60歳までの37年間勤続した会社の退職金を受け取った場合、

800万円 + (70 × 17) = 1,990万円 となり、

約2,000万円の所得控除を受けることができます。

つまり、2,000万円まではほぼ税金がかからないということになりますし、仮に退職金が3,000万円あったとしても2,000万円を差し引いた金額のさらに2分の1の金額である500万円が課税所得となり、20%の税金がかかっても100万円の課税ですみます。

3,000万円の収入があって税金が100万円ですむというのは、他の収入では考えられないくらい低い課税水準です。

このように、年金形式で受け取る場合には公的年金等控除、一時金で受け取る場合には退職控除とそれぞれに大きな税制メリットがあります。人によってどちらがお得かは異なりますが、一般的には所得控除額が大きい退職所得とした方が得をする場合が多いようです。

税金のことは最終的には税務署や税理士に確認する必要がありますが、なるべく一時金で受け取ると税金で得することが多くなるということは頭に入れておきたいですね。


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