保険解約時の返戻金が減額される可能性がある「市場価格調整」と算出式

公開日:2014年12月17日

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個人年金保険を年金受取前に解約する場合、解約返戻金が戻ってきますが、支払った保険料が全額戻ってくるわけではなく、いくつかの調整がされて解約返戻金が計算されます。

契約から解約までの年数や一時払い個人年金の場合は据置期間によって解約返戻金が変わってきます。

上記のほかに解約返戻金が増減する要因として「市場価格調整率」という考え方がありますので、本記事で紹介したいと思います。


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市場価格調整率とは

  • 市場価格調整とは、解約時の運用資産(年金原資)の価値の変化を解約返戻金に反映させるためのしくみ
  • 契約時より解約時の金利が高くなっていれば解約返戻金を減額し、低くなっていれば増額する

市場価格調整率とは、解約時の運用資産(年金原資)の価値の変化を解約返戻金に反映させるためのしくみでありその割合のことです。市場価格調整は英語で言うと「Market Value Adjustment」となるので、頭文字を取ってMVAとも言われます。

簡単に言うと契約時と解約時の金利の差によって、契約時より解約時に金利が高くなっていれば解約返戻金を減額し、金利が低くなっていれば解約返戻金を増額するものです。

市場価格調整により、解約返戻金は大きく減額される場合がありますので、解約時の金利動向には注意する必要があります。

個人年金保険は契約者から受け取った保険料を保険会社が運用しています。運用は主に債券で行われていますが、契約時と解約時の金利の差によって、契約時より解約時の金利が上がっている場合、運用している債券は市場の金利よりも不利な金利の債券になるので運用資産の売却が難しくなります。

結果、1,000万円の債券を売却したくても990万円でしか売却できないということになり、その分の損失を解約返戻金から差し引くという考え方です。

個人年金の解約返戻金の考え方のイメージは生命保険文化センターに掲載されているイメージを見るとわかりやすく、以下のようになっています。

■市場価格調整率のイメージ
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出典:生命保険文化センター

解約控除率と市場価格調整によって積み立てられた保険料がそのまま戻ってくるわけではないことがわかります。


市場価格調整率の算出式

市場価格調整率の計算式は保険会社によっても若干異なりますが、ある保険会社における市場価格調整率の計算式は以下のようになっています。

■市場価格調整率の算出式

    市場価格調整率=
    1-((1+適用積立利率) ÷ (1+解約日積立利率+0.3%))残存月数/12

    ※適用積立利率 :契約中の保険契約に適用されている予定利率
    ※解約日積立利率:解約日に契約すると適用される予定利率

計算式はややこしいですが、要は契約中の保険の予定利率に対して解約日に契約すると適用される予定利率に0.3%を加算した利率がどの程度増減しているかで解約返戻金を増減するものです。

市場価格調整率に上限や下限はありませんが、解約返戻金が0を下回ることはありません。

仮に残存期間5年の個人年金を解約して、契約時の予定利率が1%、解約時の予定利率が1.2%であった場合、市場価格調整率は2.44%となりその分だけ解約返戻金から控除されます。

割合を高いとみると低いとみるかは人それぞれですが、解約控除率もあわせて控除されることを考えると解約返戻金の減額幅は少なくないでしょう。

このように金利動向によって解約返戻金は大きく減額される可能性があるので、できるだけ解約はしないということを心にとめて慎重に契約をする必要があります。


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