子育て世代が受けられる産休・育休中の厚生年金保険料免除と養育特例
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日本では少子高齢化が進んでいるため、国も出産や子育てがしやすいように様々な制度を用意しています。年金制度も子育て世代に有利な制度がありますので、理解しておいてしっかり活用していきましょう。
子育て世代に有利な年金制度
出産や育児の際にお得な年金制度を用意しているのは厚生年金で、利用できるのは会社勤めをしながら出産、育児をする人です。
- 会社勤めをしていて出産、育児をする人は厚生年金の保険料免除制度を利用できる
厚生年金に加入する会社で働く第2号被保険者しか受けることができないので、夫が自営業で一緒に働いている第1号被保険者や、夫が会社員の専業主婦である第3号被保険者には年金制度上の特例はありません。
厚生年金の子育て世代に有利な年金制度には以下があります。
■子育て世代に有利な年金制度
- 育児休業期間中の保険料免除
- 産前産後休業期間中の保険料免除
- 養育特例
それでは一つずつ内容を見ていきましょう。
育児休業期間中の保険料免除
- 育児休業期間中は厚生年金の保険料が免除される
まずは育児休業期間中の保険料免除です。
出産をして子育てをする場合、育児休業を取得して会社を休む人が多いと思いますが、育児休業期間中は厚生年金保険料を免除されます。
保険料の免除には申出が必要になっており、「育児休業等取得者申出書」を事業主から日本年金機構に提出します。
年金額にはこれまでの給料と同じ保険料で支払ったのと同じ額が算入されますので、「保険料負担なしで年金はそのまま」になりますね。
産前産後休業期間中の保険料免除
- 産休期間中も厚生年金の保険料が免除される
また、2014年4月からは、産前産後休業期間中も保険料を免除されるようになりました。2014年4月30日以降に産前産後休業が終了する人から対象になり、保険料を負担する必要がなくなりました。
けがや病気で休業する場合には保険料を負担する必要がありますが、産前産後休業の場合には保険料負担はありません。
育児休業だけでなく、いわゆる産休中もすべて厚生年金保険料を免除されるのですね。
保険料の免除を受けるには、育児休業期間中の保険料免除と同様に、事業主から日本年金機構へ「産前産後休業取得者申出書」を提出する必要があります。
年金額についても保険料を納付したのと同じ額が加算されるので、育児休業期間中の保険料免除と同じで「保険料の負担なく年金はそのまま」ですね。
養育特例
- 子供が3歳になるまでは、収入が減って納めた保険料が減っても、収入が減る前の保険料を納めたのと同じ年金をもらうことができる
さらに子供が3歳になるまでの間は、収入が減って納めた保険料が減ったとしても、年金の計算は標準報酬月額が下がる前の金額で計算して算入してくれる「養育特例」もあります。
出典:厚生労働省
子供が生まれた後に職場復帰したとしても、勤務時間を短縮して働く場合が多く、その分収入が下がってしまう人もいますが、その場合も年金は以前の収入と同じ額を納めたことになる制度ですね。
保険料の負担は収入が下がった分減るので、「負担が減って年金はそのまま」という制度ですね。
なお、子供が3歳になる前に第2子を出産するために産休に入った場合、産前産後休業期間中の保険料免除が適用されて、養育特例は終了します。
■第2子出産時の養育特例終了のイメージ
出典:日本年金機構
養育特例は父親も使えるので、子供の送迎や病院に行ったりで勤務時間が短くなり収入が減った場合には、養育特例を使用してその間の年金を減らさないことができます。
年金以外の公的制度の出産による給付
年金以外の公的制度による給付には、健康保険の出産育児一時金があります。
健康保険の出産育児一時金とは、健康保険から1人につき42万円が一時金として支給されるものです。1人につき42万円ですので、仮に双子の場合は84万円、三つ子なら126万円も支給されることになります。
産科医療補償制度に加入している医療機関で出産した場合に42万円の一時金がもらうことができ、産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は1人につき39万円が支給されます。
また雇用保険からは育児休業中に収入が8割以上減っているなど一定の要件を満たすと、働いている時の3分の2から半分の収入を保障する育児休業給付を受けることができます。
■年金以外の公的制度による主な給付
- 健康保険:出産した子供一人につき42万円を給付
- 雇用保険:育児休業中に収入が8割以上減っている場合、給料の3分の2から2分の1の金額を給付
このように日本の社会保険制度では出産や育児をする人が困らないようにいくつかの制度を用意しています。
子供はかけがえのないものですが、産むにも育てるにも何かとお金がかかりますし、産休を取ったり、復帰後は仕事にかけられる時間も制限されるようになり、収入が減る人もいます。その他にも目に見えない出世の遅れや待遇の差もあり、経済的には社会的弱者になりがちです。
そのような負担が少しでも軽くなるように、社会保険では子育て世代を支援する制度を用意しています。金額も大きいものが多いので、活用できる人はぜひ活用したいですね。
日本の少子化の問題は経済的問題よりもライフスタイルの変化が大きな要因で、社会保険制度を整えたからといって解決するわけではないと思いますが、今後は少子化の問題を解消するためにも、女性の社会進出と子育て支援を両立する方法を社会全体で模索していく必要があるといえます。
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