消費増税の延期と年金や医療・介護の関係
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2014年4月から消費税が5%から8%に引き上げられました。2015年中の10%への引き上げは延期されましたが、17年4月には10%に引き上げがされます。
10%引き上げが延長されたことで家計は一安心だと思いますが、年金の面から見ると良い面だけではありませんでした。
消費税の増税延期の影響
2014年に増税が延期されたことで、同年に日本政府では増税を前提にしていた年金制度の変更についても見送ることを決めました。
■消費増税が延期されたことで見送られた年金制度変更
- 低所得の高齢者への給付金
- 年金受給可能加入期間の短縮(25年から10年)
見送られたうちの1つは、低所得の高齢者に対して保険料納付期間に応じて最大で月5,000円を給付する給付金制度です。500万人から790万人の人が対象といわれていましたので、低所得の高齢者の人にとってはかなり痛いですね。
2つ目は基礎年金が受給可能になる加入期間の短縮で、これまで25年の納付済期間が必要でしたがこれを10年に短縮するものです。
弱者救済と言われる2つの制度変更が見送られることになりましたので、一部の人にとっては消費増税された方が良かったといえます。
短縮することで年金を受け取ることのできる人が増え、無年金の人のうちの4割にあたる17万人の人が新たに年金を受給できるようになるはずでした。
消費税の増税によって増えた税収はすべて年金、医療、介護などの社会保障費にあてられることになっているため、増税が延期、中止されるとその分を見込んでいた年金等の充実も見送られることになります。
公的年金の国庫負担分の引き上げの影響
年金制度改革の一環として2009年度から公的年金の支給年金に対する国庫負担分が3分の1から2分の1に引き上げられました。これにより年金のうち半分は税金から支払がされています。
年金はすべて保険料でまかなわれていると思っている人は多いですが、少子高齢化が進んでおり保険料だけではまかないきれないので税金が投入されています。
年金の税金負担割合が増えると、よりたくさんの税金が必要になり、3分の1から2分の1に引き上げられたことにより約2.3兆円の税金が余分に必要になりました。消費税にすると約1%の増加が必要になりますので、かなりの金額の税金が投入されていることがわかります。
社会保障費全体では医療費、介護費用の予算が大きいので年金だけのために税金を上げることは難しいでしょう。日本全体としてみた時には医療や介護の方が優先的に予算が割かれているので、消費税が上がったとしても年金の予算が増えるとは限りません。
少子高齢化が進み、年金財政は確実に悪化していきますが、税金から年金を負担するといっても限度があります。そのため今後の給付の減少や保険料負担の増加が想定されます。
現に2015年から実質的な年金給付額の切り下げである「経済マクロスライド方式」が発動することになりました。
ただでさえ公的年金だけでは老後の生活は苦しいので、今後さらに公的年金の給付水準が落ちても対応できるよう自分で追加の年金や老後資金を準備する必要があるといえます。
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