消えた年金記録問題と保険料の支払証明
2007年ごろに旧社会保険庁(現在の日本年金機構)のずさんな管理により年金の加入記録がわからなくなる、いわゆる「消えた年金記録問題」が起きました。
当時大問題になりましたが、今ではあまり語られることも少なくなりました。国が犯すミスとしてはあまりにずさんで大きすぎる影響があった問題ですので、消えた年金記録問題の概要とその影響を紹介したいと思います。
消えた年金記録問題
- 保険料を支払っていたのに年金の加入記録がない人が出た問題
消えた年金記録問題とは、社会保険庁が管理していた年金加入者の加入記録を紙の管理からデータ管理に移行する際に多数のデータが抜け落ち、結果として保険料を支払っていたのに年金の加入記録がない人が大量に発生した問題です。
国に保管されている年金記録自体が文字通り消えてしまっているため、どれくらいの件数が消えてしまっているのかもわからず、申し出があったとしても本当はその人がどれくらいの期間加入していたのかもわからず、非常にやっかいな問題となりました。
当初自分が保険料を支払ったことを証明するために払込用紙の控えなどが必要になりましたが、何十年も前の払込用紙の控えを持っている人はほとんどいないので、国民の批判を招きました。
年金保険料の支払証明
- 銀行口座の出金記録
- 確定申告での申告内容
- 家計簿の記帳内容
- 事業主(会社)の証言
そのような批判を受け、最近では年金保険料の支払証明は簡単になっており、明らかに不合理でなければ支払が認められています。
明らかに不合理でないというのは、銀行口座の出金記録から保険料の支払いに充てていることがわかるような場合や確定申告で申告をしていたり、家計簿につけていたりした場合でも認められることがあるようです。
国のミスなので、国民ががんばって証明しないと将来年金が受け取れなくなるというのもおかしな話ですが、これまで保険料を支払っていなかった人が年金をもらえるのも不公平ですので、妥当な証明方法であるといえます。
問題が起きて「ねんきん特別便」「ねんきん定期便」が送られることに
消えた年金問題と年金記録はあるけどだれのものかわからない「宙に浮いた年金問題」によって日本の年金制度の信頼は地に落ちました。
加入者全員に年金記録の確認をする必要があったため、加入者全員に国が把握する年金記録を送付して確認してもらう「ねんきん特別便」が送られるようになりました。また、以降毎年年金の加入記録が記載された「ねんきん定期便」が送付されるようになりました。
ここ数年でずいぶん便利になりましたが年金の加入記録がまた間違っている可能性もありますので、毎年のねんきん定期便はきちんとチェックしておくに越したことはありませんね。
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