年金の財政検証と公的年金の運用利回りの前提
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公的年金の運用は5年ごとに年金の現在の財政状況や今後の見通しから、今後の年金が維持できるかどうかを検証する財政検証が行われています。
2014年にも行われており、厚生労働省から財政検証の結果が公表されており、一応「これで大丈夫」という結果になっています。しかしこの財政検証は毎回運用利回りの想定が高すぎると一部から批判をされています。
公的年金の運用前提
- 公的年金が想定している運用利回りは3.2%
公的年金の財政検証は人口、労働力、物価、賃金などの条件をもとに現在および将来の年金財政の健全性を検証していますが、中でも重要なのは年金資産の運用利回りです。
財政検証では様々なケースを想定して8つのケースの運用利回りを設定しており、その中の標準的なシナリオとしては3.2%の運用利回りになっています。
長期国債の利回りが10年物で038%、20年で1.16%、30年債が1.43%となっている超低金利の中で、国内債券が運用資産の6割超を占める年金資産の運用利回りが中間シナリオで3.2%というのは素人目に見ても高すぎるように思えます。
さらにこれは平均の利回りですので、超長期間の運用で毎年3.2%の運用を続けていかないといけないので、さらに困難であることが容易に想像できます。
実際に専門家の中でもこの想定利回りは高すぎるという指摘が多く上がっています。
財政検証を行っているのは、学者や証券関係者などいわゆる識者や専門家と言われる人たちです。計算ができない人たちではありませんので、誤った検証をしているというよりも政府の結論ありきで財政検証の結果もそれに合わせる形で結論を導き出しているのでしょう。
年金積立金がある現在は問題ありませんが、いずれ積立金はなくなります。年金給付金額の約1割は積立金および積立金の運用益から給付がされていますので積立金がなくなるということは年金財政が一気に苦しくなることを表しています。
検証結果が正しかったのか答えが出るのは20年以上後の話ですが、間違っていた場合は年金の支給が減るという未来が待っています。
明るい未来にも暗い未来にも対応できるように準備しておく
このように公的年金の運用の前提は、結論ありきのちょっと無理そうな運用利回りとなっており、想定している運用利回りを下回ると公的年金の給付と保険料納付の水準が悪くなります。
現状どちらかといえば保険料負担の水準はなるべく上げないようにしているようなので、公的年金の給付水準が切り下げられる可能性は高いと思われます。
きちんと準備をしておけば、まずい結果になった場合でも対応できますし、財政検証の結果通りに現状と同じくらいの給付水準であれば老後の生活に少しゆとりができます。
20年後、30年後にどのような年金制度になっているかは誰にもわかりませんが、確実なものでない以上、必ずしも公的年金が盤石なものだと思わずに、少し余裕を持った老後の生活費を自分で準備しておく必要があるといえます。
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