退職金にかかる税金と確定申告をした方が得する2パターン

公開日:2014年10月16日 最終更新日: 2017年5月17日

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多くの人にとって老後前の最大の収入となる退職金は公的年金と並んで老後のお金において重要な役割を果たします。

残っている住宅ローンの返済や老後の生活費など使い道は様々ですが、退職金全額を使うことができるわけではなく、当然税金がかかります。また源泉徴収をされる人でも確定申告をした方が得する人もいます。

退職金の使い道の計画を立てる上でも退職金にかかる税金を理解しておきましょう。


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退職金にかかる税金は分離課税

退職金にかかる税金は、給与などとは合算せずに個別に税金が計算される分離課税になっています。また、一般的に退職金は各企業において源泉徴収された後に支給をされていて、確定申告不要になっています。

退職金の税金は受け取った退職金から退職所得控除を差し引いた後、金額を2分の1にした上で課税所得金額に応じた税率をかけることで所得税と住民税が算出されます。また平成25年からは復興特別所得税が加算されます。

■退職金の税金の計算式

  • (退職金額 - 退職所得控除)× 1/2 × 税率 - 控除額 = 退職金にかかる税金

退職金にかかる退職所得控除の額は勤続年数によって異なり、以下の計算式で算出されます。

■退職所得控除の金額

  • 勤続年数20年以下:40万円×勤続年数
  • 勤続年数20年超 :800万円+70万円×(勤続年数-20年)

退職所得控除は勤続年数10年であれば400万円、20年であれば800万円、30年であれば1500万円となっており、勤続年数が20年を超えると所得控除の金額がぐっと上がってきます。

退職所得控除の金額以内であれば税金はかかりませんので、勤続30年の人であれば1500万円までは退職金に税金がかからないことになります。

所得税は累進課税ですので、所得金額ごとに以下の税率、控除によって所得税額が計算され、住民税は一律10%の税率がかけられ課税されます。

■所得税の税額(平成26年度)

課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 97,500円
330万円超695万円以下 20% 427,500円
695万円超900万円以下 23% 636,000円
900万円超1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 40% 2,796,000円

出典:国税庁ホームページ

文章にすると少しややこしいので、退職金にかかる税金をイメージにすると以下のようになります。

■退職金の所得税、復興特別所得税の計算イメージ
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もらった退職金に対して退職所得控除を差し引き、さらに2分の1をかけることで課税所得金額を圧縮していることがわかります。

このように退職金にかかる税金は、他の所得と合算せず、退職所得の控除が大きい上、控除後の所得を2分の1として税金を計算するため、税金上大変有利になっています。

ただし、上記の計算によって退職金にかかる税金が計算をされるのは「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合のみです。

  • 「退職所得の受給に関する申告書」が提出されていない場合には、支給金額の20%の所得税が源泉徴収される

「退職所得の受給に関する申告書」が提出されていない場合には、企業で支給金額の20%が所得税として源泉徴収されてしまいます。

上述した退職所得控除もその後課税所得を半分にすることもされないので、大変税金が高くなります。そのため「退職所得の受給に関する申告書」は退職金を受け取る場合には提出すべき書類で提出忘れがないように注意しましょう。


退職金の税金を確定申告した方が得する場合

退職金にかかる税金は、各企業で源泉徴収されますが、給与と同様に確定申告をすることもでき、人によっては確定申告により税金の還付を受けられる場合があります。

確定申告により税金の還付が受けられる可能性のある人は以下の人たちです。

■確定申告により税金の還付が受けられる可能性のある人

  • 「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった人
  • 退職金を受け取った年の所得が低い人

「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった人

まずは「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった人です。

上述した通り、退職金にかかる税金は「退職所得の受給に関する申告書」が提出されないと、所得税は退職金の支払い金額の一律20%として計算され源泉徴収されます。

退職所得控除がされないので、非常に大きな金額が課税されることになりますが、このような場合にも確定申告をすることで、所得税の生産をすることができます。

退職所得控除の金額は非常に大きいので、このような場合ほとんどの人が税金の還付を受けることになります。

そのため、「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった人は確定申告をすることでしない場合よりも得することができます。


退職金を受け取った年の所得が低い人

また退職金を受け取った年の、給与など他の所得が低い人も確定申告をすることで税金の還付を受けられる可能性があります。

所得税の計算では基礎控除や配偶者控除、社会保険料控除、生命保険料控除など所得金額から差し引くことのできる「所得控除」があります。

所得控除は通常給与所得などを合算した総合課税の所得から差し引かれますが、所得控除の金額が総合課税の所得よりも大きい場合、控除しきれなかった所得控除を退職金所得から控除できる場合があります。

そのため退職金を受け取った年の退職金以外の所得が少ない場合には、使用できる所得控除が残っていて退職金所得から差し引くことができます。

  • 退職金を受け取った年の他の所得が低い人は、基礎控除、社会保険料控除などの「所得控除」が残っている場合があり、その場合退職金所得から差し引くことができるので、退職金の税金が有利になり還付を受けられる

年の頭に退職をした人の場合、その年の給与所得が極端に少なくなり、所得控除が活用できる場合もありますので要チェックです。

「退職金にかかる税金は源泉徴収して完了する」という認識の人が多く、実際に確定申告をする人はとても少ないですが、確定申告をして還付を受けることのできる人は意外に多いのでダメもとでもチェックしてみることをおすすめします。

  • 退職金にかかる税金は基本的に源泉徴収されるので確定申告不要
  • 退職金にかかる税金は所得控除の金額が大きく、支払う税金は少なくなっている
  • 確定申告することで退職金にかかる税金の還付を受けられる場合がある
  • 「退職金にかかる税金は源泉徴収して完了する」という思い込みを捨てて、だめもとでも自分が還付を受けられるかチェックする


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