退職金の受取方法「一括受取」と「年金受取」の違いと注意点

公開日:2014年10月9日

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老後のお金を考えるにあたって公的年金に次いで重要で金額が多い退職金ですが、退職金は一時金として受け取ることもできれば、年金形式で受け取ることもできます。

実際にどのような受取方法を選ぶことができるかどうかは各企業によりますが、一般的な退職金の受取方法による違いとどちらが得かという点を見ていきたいと思います。


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退職金の受取方法の種類

退職金がもらえる人は、勤務先の企業が企業年金を用意しているところで、一般的にいわれる退職金とは企業年金を退職時に一時金として受け取っているものです。

年金という名がついているため、毎月の年金形式で受け取ることもでき、一部を一時金で受け取り残りを年金形式で受け取ることもできます。

退職金の受取方法の種類をまとめると以下のようになります。

■退職金(企業年金)の受取方法

  • 一時金で受け取る(一括受取)
  • 年金として受け取る(年金受取)
  • 一部を一時金で受け取り、残りを年金で受け取る

ケーキのイチゴをいつ食べるかではないですが、先に一度にもらえる方が良い人と、後まで定期的にもらえた方が良い人など受取方法には好みがあります。

ただ、経済的な違いも大きいので、退職金の受取方法による「支給額」と「税金」の違いを見ていきたいと思います。


退職金受取方法による支給額の違い

まず、退職金の受取方法が違うと総支給額が変わってきます。

年金でもらう場合にはまだ受け取っていない金額に対して金利がつくので、総支給額で見ると年金額の方が一時金よりも多くなります。

金利は高めなことが多く、一時金で受け取って自分で運用するよりも有利なことが多くなります。

  • 年金で受け取ると総支給額は一時金として受け取る場合よりも多くなる

なお、年金で受け取る場合、勤務先企業の経営状態が悪くなると、企業年金の減額がされるリスクがあります。

  • 企業年金は減額をされるリスクがある

企業年金の減額といえば、JALの破たん時に企業年金の減額の話などがありましたが、自分の勤務先が似たような状況になった時には同じように企業年金が減額される可能性があるのです。

OBの3分の2以上の同意があれば全員引き下げが行われてしまいますので、企業年金を年金形式で受け取る場合には減額のリスクがあることを理解する必要があります。


退職金受取方法による税金の違い

退職金の受取方法によって「税金」も変わってきます。

■退職金受取方法による税金の違い

  • 一時金で受け取り:退職所得として退職所得控除後に課税
  • 年金で受け取り :雑所得として他の所得と合わせて総合課税

退職金を一時金として受け取ると、退職所得となり、「退職所得控除」の対象になります。

退職所得控除は勤続年数によって異なりますが、勤続20年以上の場合、「70万円 ×(勤続年数-20年)+800万円 」の控除を受けることができます。

■退職所得控除の内容

  • 勤続年数20年以上:70万円 ×(勤続年数-20年)+800万円
  • 勤続年数20年未満:40万円×勤続年数(最低80万円)

仮に30年勤務して2,000万円の退職金を一時金で受け取ると、控除額は1,500万円となります。

退職所得の課税所得額は一時金から控除額を差し引いた金額を2で割った金額になりますので、250万円が課税所得となります。

■退職所得の課税所得額の計算

  • 退職所得の課税所得額:(退職一時金 - 退職所得控除)÷ 2

一方年金で受け取る場合は雑所得扱いで、毎年他の雑所得と合算して総合課税されます。

そのため他の所得が多ければ多くの税金を支払う必要があります。退職所得控除は強力ですので、多くの場合退職金は一時金で受け取った方が税金は安くなるといえるでしょう。

また、税金ではありませんが、年金形式で企業年金を受け取ることで、現役並み所得とされ、医療費の自己負担割合が多くなることもあります。

企業年金がもらえる人は厚生年金に加入している人がほとんどですので、年金の受給額は多くなりますので、医療費が高くなる可能性もあることを理解しておく必要があります。

どちらが良いかは各企業年金のルールや受取時の税制などによっても異なりますので、現役時代にはどのような受取方法が可能かを確認しておき、定年退職が近づいたタイミングで企業の年金担当者やFPに相談すると良いと思います。


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