国民年金よりも生活保護の方が得という噂と老後を生活保護に頼ることの危険性

公開日:2015年2月20日

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「公的年金を受け取るよりも、生活保護の方が多くもらえるから生活保護を受けた方が得だ」という話を聞いたことがある人もいると思います。

本当だとしても、意図的に年金保険料を支払わずに老後は生活保護を受けるという行為はモラル的に認められるものではないと思いますが、本当に生活保護の方が得なのかは気になる人もいると思います。

そこでここでは、国民年金と生活保護の支給額の差や老後を生活保護に頼るとどうなるのかを見ていきたいと思います。


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国民年金と生活保護の支給額の差

■国民年金と生活保護の支給額

  • 国民年金:月額約6.4万円
  • 生活保護:月額約13.0万円(東京都単身世帯の場合)

まず国民年金と生活保護の支給額の違いを見てみましょう。

公的年金は国民年金の場合、満額で77.2万円を年間で受け取ることができ、厚生年金に加入していた人は77.2万円に加えて収入に応じて年金をプラスして受け取ることができます。

年間で77.2万円というと月額にすると受け取ることができるお金は約6.4万円になります。

一方で生活保護は都道府県やその人の状況によって給付額が異なりますが、東京都の場合単身世帯で月に8万円を受け取ることができ、さらに住宅補助として5万円を受け取ることもできます。

合計で13万円となり、生活保護の支給額は国民年金の支給額の約2倍の金額を受け取ることができます。

さらに生活保護を受けていると医療費や介護費も無料で受けられるためなくなりますので、実質的に使うことのできるお金は国民年金を受け取っている人の2倍以上になります。

この比較結果だけを見ると、40年間国民年金保険料を支払ってもらうことのできる金額が、収入がない人がもらうことのできる生活保護よりも少なく、まじめに保険料を支払うのが馬鹿らしくなりますね。

プライドを捨てて最初から国民年金を支払わずに、老後に生活保護の申請をすればいいと考えている人が出ても不思議ではないのかもしれません。


老後の生活費を生活保護に頼ることの危険性

今生活保護を受けている人がいて、国民年金受給者よりも多くの金額を受給しているのは一つの事実ですが、だからといってこれから老後を迎える人たちが年金を支払わずに生活保護に頼るのはあまりに危険な行為です。

■老後を生活保護に頼ることが危険な理由

  • 生活保護が受理されるかわからない
  • 生活保護の制度が見直される可能性がある
  • 後から保険料を支払って国民年金をもらうことが難しい

まず、生活保護は経済的に生活を続けていくことが難しい人を保護する制度ですので、生活保護を受けるには当然年収の要件があり、その年収は世帯で見られることになります。

また、独身であれば親の実家で暮らすことをまず求められますし、自動車やアクセサリーなどお金になりそうな資産がある場合は売却することが求められます。つまり生活保護を受けるには一人暮らしをすることも自動車やアクセサリーを持つこともできなくなります。パソコンや携帯電話の所持を認められないケースもあるようです。

さらに仮にこれらの条件をすべて飲めるという人の場合でも生活保護の申請が受理されるかどうかはわからず、申請が認められない場合もあります。

生活保護の認可率は都道府県によっても異なり、最近不正と思われる生活保護の件数が増加していることから認可が厳しくなっているとも言われています。

生活保護申請者が門前払いされるなどの問題もあり、本当に生活保護が必要な人ですら申請を認められていないという状況です。そのため老後に生活保護の申請をしても認められない可能性があると考えておいた方が良いでしょう。

さらに国民年金よりも生活保護の方がもらえるお金が多いという状況は社会問題化していますので、今後制度改正がされる可能性が高く、いつまでも同じ状況でない可能性がある点も危険です。

老後になっていざ自分が生活保護を受けようとしたら制度が変更になって生活保護を受けられないというケースも十分考えられるのです。

公的年金は財源をすべて税金で賄うなどの抜本的な改正案が日々議論されています。最終的にどうなるかはまだわかりませんが、保険料を払わなくても実質年金分を負担する仕組みになったり、国民年金の方が生活保護よりも支給額が多くなったり、恣意的に生活保護を受けるという行為ができなくなる可能性は十分にあります。

あくまで現行制度のひずみのようなものですので、それを将来生活保護を受けるから大丈夫と考えてしまうのはあまりに安易です。

国民年金を受け取るには保険料納付期間が25年必要です。この受給資格期間は10年への短縮が検討されていますが、それでも年金保険料をまったく支払っていない人が生活保護を受けられないとわかってすぐに国民年金の受給資格を得ることはできません。

また国民年金は保険料納付期間に応じて将来の受取年金額が決まりますので、納付期間が短いと満足な年金を受け取ることができません。

国民年金は後から保険料を支払って年金の資格を得ることが難しくもらえる年金も少なくなってしまいますので、若いうちからコツコツと支払うことで効果が最大になります。

このように老後を生活保護に頼るというのはあまりにもリスクが大きいです。公的年金だけで老後の生活をまかなうのは難しいかもしれませんが、それでも公的年金は頼るべき日本の重要な社会保険制度の一つです。

結局年金を払っておけばよかったということになりますので、まわりの耳触りの良い情報に惑わされずきちんと年金の保険料を納めていきたいですね。


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