雇用保険(失業保険・高年齢雇用継続給付)により年金支給が停止・減額される場合

公開日:2014年10月24日

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雇用保険に加入していると、失業給付や高年齢雇用継続給付など、収入を保障するための制度を活用することができますが、年金を受給している場合には、年金と雇用保険の収入保障が重複することになり、一部調整が入ります。

最近では60歳を超えても働く人が多く、今後は年金と雇用保険が重なる人がさらに増えてくることが予想されますので、制度を理解して最も得する活用方法や働き方を選択するようにしましょう。


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雇用保険の失業保険と高年齢雇用継続給付

高齢者の人が雇用保険を使って受けられる収入の保障には主に失業保険と高年齢雇用継続給付があります。

■雇用保険による収入の保障

  • 失業給付:失業から再就職までの期間の収入を保障
  • 高年齢雇用継続給付:収入が下がっても働き続ける高齢者の収入の一部を保障

失業保険は就労意志、能力のある人が職を失った時に、失業から再就職までの間の収入を保障する制度です。

また、高年齢雇用継続給付は、60歳から65歳で働く人が受けられる雇用保険の給付で、60歳時点に比べて給料が75%未満で働き続ける場合に、収入に応じて最大60歳時点の収入の15%が保障されるものです。

60歳以上の働く人を支援するための国の制度といえますね。


雇用保険を使うことで年金の支給が停止・減額される場合

生活保護や高年齢雇用継続給付は収入を保障してくれるので、利用できる場合にはぜひ利用したいですが、年金を受給している場合には一部年金の調整が入る場合があるので注意が必要です。


失業給付と年金支給の関係

雇用保険の失業給付と特別支給の老齢厚生年金は同時に受けることはできません。

  • 雇用保険の失業給付と特別支給の老齢厚生年金は同時に受けられない

特別支給の老齢厚生年金は60歳から65歳の間に受け取る厚生年金のことですので、その間に失業して失業給付を受ける場合には年金の支給がストップしますので注意が必要です。

■失業給付と年金支給の関係イメージ
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出典:日本年金機構

特別支給の老齢厚生年金を受け取っている状況で失業給付を受けようとする場合には、年金か失業給付かどちらかを選択することになります。

一般的にはもらえるお金が多い失業給付をもらうことを選ぶ人が多いようですが、人にもよるのでそのような場合は最寄りの年金事務所に行って、年金額と失業給付の見込み額を試算してもらい比較して選ぶのが確実です。

なお、65歳以上で失業給付を受ける場合は、「高年齢求職者給付金」という形で一時金として給付されることになり、年金と同時に受けることができます。

あくまで年金と失業給付から選択しないといけないのは60歳から65歳の間だけです。


高年齢雇用継続給付と年金支給の関係

  • 60歳から65歳の間で年金を受け取りながら仕事をする場合、在職老齢年金の調整に加えて、高年齢雇用継続給付を利用していることによる減額もある

高齢になって現役時代よりも安い給料で働いている場合に受けられる「高年齢雇用継続給付」を利用している場合にも、年金額の調整が入ります。

高年齢雇用継続給付が受けられるのは60歳から65歳の働く人ですので、厚生年金の特別支給を受けている人が年金調整の対象になります。

まず、年金をもらいながら働き続ける場合、年金額と給料の合計額に応じて、「在職老齢年金」の制度の対象になり年金が減額されます。

そのため年金支給額と給料の合計額が一定額以上の場合、年金の減額がありますが、さらに、高年齢雇用継続給付を受けている場合には、最大で標準報酬月額の6%相当の額の年金の支給が停止されます。

■高年齢雇用継続給付による年金減額のイメージ
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在職老齢年金は年金と給料の合計が一定を超えると、超えた部分の額の半額を年金額から減額する仕組みになっていますが、高年齢雇用継続給付を受けている場合には、年金と給料の合計が一定額を超えた部分の4分の1程度の額を年金から減額する仕組みになっています。


働いて豊かな老後を目指すか引退してのんびり過ごすか

雇用保険と年金制度の調整について見てきました。

一概には言えませんが、雇用保険は「まだ働きたい」という人向けの制度であり収入の保障をしており、年金は「引退してゆっくりしたい」人向けの制度なので、両方の収入の保障を得るというのは難しくなっており、何かしらの調整が入るようになっています。

年金は自分で保険料を納めたので、もらう権利があり、減額されるのはおかしいと考える人もいるかと思いますが、年金は社会保険の一部で収入を得る能力のない人を保障することが一番の目的の制度です。

なので、まだ働ける人、一定以上の収入がある人には年金の保障は薄くなり、年金に頼らずに働いてほしいという形になっています。

一方で働かない方が得をするという状況を許さないために、失業給付と厚生年金の特別支給を同時には受けられなくなっていたりします。

かなり複雑なので、どのような働き方が得をするとは一概に言えませんが、最低限「失業給付と厚生年金の特別支給を同時には受けられない」という点と、「高年齢雇用継続給付を受けていると年金を減額される場合がある」という点は覚えておいた方が良いですね。

  • 失業給付と厚生年金の特別支給を同時には受けられない
  • 高年齢雇用継続給付を受けていると年金を減額される場合がある

後は最寄りの社会保険事務所などに相談をするのが良いでしょう。

収入を増やすには働くしかないので、働く能力と意志がある人は多少の年金の減額には目をつむって働き続けるというのも一つの選択肢ですね。

年金を減らさずに働き続けるには労働時間や収入の条件があるので、とにかく年金を減らしたくないという人は在職老齢年金が発生する年金と給料の合計額が28万円を超えないようにするのが良いでしょう。

それ以上稼ぎたい場合には大体の労働時間と給料を把握した上で、年金事務所などに相談して試算すると良いと思います。


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