夫が亡くなった時の妻の年金(遺族年金と中高齢寡婦加算)
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公的年金は老後の収入の保障だけではなく、加入者が死亡した時の遺族への保障も行っています。
夫が亡くなった場合に、公的年金から支払われる妻の年金は、加入している年金制度と子供の有無によって変わってきます。
夫が亡くなった時のことを先に考えるのは不謹慎と考える人もいますが、大事なことですし、実際に夫が亡くなった時はそれどころではなくなると思いますので、もしもの時の妻の年金について見ていきましょう。
夫が亡くなった時の妻の年金
年金加入者が亡くなった場合の遺族年金には、国民年金から支払われる遺族基礎年金、厚生年金から支払われる遺族厚生年金、共済年金から支払われる遺族共済年金があります。
これまで遺族年金は夫が亡くなった場合のみ支給されていましたが、2014年4月より妻がなくなった場合も支給されることになりましたので男女の区別なく遺族年金が受け取ることができます。
夫の職業が自営業でも会社員でも受け取れる遺族基礎年金は、子供がいる家庭に支給される年金ですので、子供のいない夫婦で夫が亡くなっても、遺族基礎年金は支給されません。
会社員など厚生年金加入者が死亡した時のみ受け取れる遺族厚生年金は、子供や子のある妻だけでなく、「子のない妻」や「父母」、「18歳未満の孫」、「55歳以上の祖父母」なども年金を受け取る権利があります。
また、加入者が死亡した時に無条件で遺族年金が支給されるわけでなく、遺族基礎年金、遺族厚生年金をもらうにはそれぞれ以下の条件を満たす必要があります。
■遺族基礎年金の受給要件
- 「国民年金に加入している」または「老齢基礎年金の資格期間を満たしている」人が死亡した時
- 保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が年金加入期間の3分の2以上ある
- 「18歳に到達する年度末までの子」または「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子」がいる
■遺族厚生年金の受給要件
- 保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が年金加入期間の3分の2以上ある
- 「国民年金に加入している」または「老齢厚生年金の資格期間を満たしている」または「1級・2級の障害厚生年金を受けられる」人が死亡した時
つまり、子供がいて遺族基礎年金および遺族厚生年金の条件を満たしている人は、夫が国民年金のみに加入していた場合は遺族基礎年金が支給され、夫が厚生年金に加入していた場合は遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取れることになります。
支給される金額は遺族基礎年金が772,800円+子の加算(1,2人目は各222,400円、3人目以降は各74,100円)となり、遺族厚生年金は厚生年金の報酬比例部分の4分の3の金額が毎年支給されます。
- 子のいる自営業者の妻は遺族基礎年金を受け取ることができる
- 子のいる会社員の妻は遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取ることができる
- 子のいない会社員の妻は遺族厚生年金を受け取ることができる
国民年金に加入で、子供がいない妻の場合(寡婦年金・死亡一時金)
- 子供のいない国民年金加入者の妻は、寡婦年金、死亡一時金を受け取ることができる
国民年金に加入した人が亡くなった時に、子のない妻には遺族基礎年金は支給されませんが、その代わりに寡婦年金と死亡一時金が支給されます。
寡婦年金は、25年以上の保険料納付期間がある第1号被保険者が亡くなった時に、10年以上の婚姻関係(事実婚含む)があった妻に60歳から65歳の間に支払われる年金のことです。死亡した時点の第1号被保険者期間に応じた年金額の4分の3を受け取ることができます。
死亡一時金は、第1号被保険者として保険料を納めた月数が36か月以上ある人が老齢基礎年金、障害基礎年金を受け取らないまま亡くなってしまった場合に支払われる一時金です。
保険料を納めた月数に応じて12万円から32万円の死亡一時金が支払われます。
厚生年金に加入で、子供がいない妻の場合(中高齢寡婦加算)
厚生年金に加入している人が亡くなった時に、その配偶者が以下の条件のいずれかに該当する場合、さらに上乗せの年金として中高齢寡婦加算が支給されます。
■中高齢寡婦加算の条件
- 夫が亡くなった時に40歳以上65歳未満の子のない妻
- 遺族基礎年金を受けていた子のある妻で、子が18歳到達年度末に達し、遺族基礎年金を受給できなくなった場合
もらえる金額は年額579,700円で、40歳から65歳になるまでの間に支給されます。子供のいない妻は遺族基礎年金を受け取ることができませんので、その代わりに中高齢寡婦加算があると考えましょう。
夫が亡くなった時に受け取れる年金は「年金制度」「子の有無」できまる
夫が亡くなった時の妻の年金を見てきました。夫が加入している年金制度、子供の有無によって支給される年金が変わってくるので少しややこしいですが、まとめると以下になります。
夫の年金 | 子の有無 | 支給される年金 |
---|---|---|
国民年金 | あり | 遺族基礎年金 |
なし | 寡婦年金死亡一時金 | |
厚生年金 | あり | 遺族基礎年金遺族厚生年金 |
なし | 遺族厚生年金中高齢寡婦加算 |
またいずれの遺族年金も、支給されるには国民年金加入期間の3分の2の納付済期間および免除期間が必要になります。
自営業者などの第1号被保険者の人は保険料を滞納している人が多いですが、年金保険料を納めていないと遺族への最低限の保障もできないということにもなりますので、未納期間は作らないようにしましょう。経済的に苦しい場合は免除制度を活用することもできるので、最寄りの年金事務所に相談すると良いでしょう。
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