厚生年金特例法の対象と厚生年金加入者が年金記録を確認する重要性
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2007年から施行されている厚生年金特例法は、厚生年金加入者が保険料を給料から天引きされているのに、年金記録がない場合に年金の記録を訂正し、企業にはその期間の保険料を時効後でも納めることを認めたものです。
給料から天引きされているのに保険料が納付されないケース
- 厚生年金特例法は企業が厚生年金手続きを怠り、給料を天引きされていた従業員に厚生年金加入を認め、事業主にはその分の保険料を時効期間(2年)をさかのぼって納付することを認めるもの
厚生年金特例法が想定する「厚生年金保険料が給与から天引きされているのに年金記録がない場合」とは、本来厚生年金保険料を納めるはずの企業が厚生年金手続きを怠り、保険料を日本年金機構に納めていない場合です。
厚生年金保険料は、保険料を従業員と事業主が半分ずつ出し合い、事業主は従業員の給料から天引きする形で従業員分の厚生年金保険料を預かり、事業主負担分と合わせて日本年金機構へ厚生年金保険料を納めています。
事業主が年金機構へ保険料を納めなければ、当然年金記録にはなりません。
企業の保険料負担を減らそうとしたものか、あるいは単純な手続きの漏れもあると思いますが、いずれにせよ企業側の過失で保険料が支払われていなかった従業員の年金について救済をするための法律が厚生年金特例法です。
厚生年金特例法の対象と認められること
厚生年金特例法の対象となるのは、給料から厚生年金保険料が天引きされていると年金記録確認第三者委員会で認められた人です。
給料から厚生年金保険料が天引きされていると認められるには、雇用保険の加入記録、給与明細、元同僚の証言などをもとに行われます。
最近起きたことであれば給与明細を用意することもできますが、何十年も前だと当時の給与明細などを持っていることも稀で、厚生年金の申し立てが認められるのは3割程度と言われています。
申し立てが認められると、年金給付の対象とするための年金記録の訂正が行われます。また、事業主にはその間の保険料の納付を時効が来ていたとしてもさかのぼって納付することが認められます。
■厚生年金特例法で認められること
- 年金給付の対象とするための年金記録の訂正
- 事業主は保険料の納付を2年以上さかのぼって納付することが認められる
従来は2年を超えた分の保険料は時効消滅となり、さかのぼって保険料を納付することはできませんでしたが、厚生年金特例法ではこれを認めています。
厚生年金特例法の対象になるケース
具体的に厚生年金特例法の対象になるのは、以下のようなケースがあります。
■厚生年金特例法の対象になるケース
- 3年前に退職した企業で、厚生年金保険料を給与天引きされていたが、企業側が厚生年金の加入手続きをしていなかった場合
このような場合、入社から退職するまでの期間、厚生年金保険料を天引きされていたので働いていた人としては保険料分の負担をしていましたが、企業が厚生年金の加入手続きを怠ったことにより、年金記録にはなりません。
退職したのが3年前なので、厚生年金特例法の施行前であれば、給与から保険料が天引きされていることが認められたとしても、保険料の時効期間である2年が経過しているので、さかのぼって保険料を納付することができず、年金額に反映させることができませんでした。
厚生年金特例法では、厚生年金保険料の給与天引きが認められれば、2年以上さかのぼって保険料を納めることを認め、年金額に反映させることができるようになりました。
■厚生年金特例法の対象になるケース(図解)
出典:日本年金機構
厚生年金加入者も年金記録の確認を定期的に行う
厚生年金特例法で、厚生年金保険料が給料から天引きされているのに年金機構へ保険料が納付されていなかった場合、年金加入期間として認めてもらうことができますが、あくまで認められるのは「客観的に保険料を給料から天引きされていると認められる場合」のみです。
厚生年金保険料を給料から天引きされていることを認めてもらうには、給与明細があると強力な証拠となりますが、期間が経てば経つほど持っている人は少なくなり、その他の証拠もなくなっていくので、不利になっていきます。
このようなことがないように、自分の年金加入記録は定期的にチェックをしておく必要があります。
今は毎年ねんきん定期便が送られてきたり、ねんきんネットを使ってインターネットで確認をすることもできます。
厚生年金の加入者は、保険料が給与天引きのため年金保険料への意識が薄い人が多いですが、企業がきちんと保険料を払っていないというケースもあるので、自分が保険料を天引きされた期間と年金の加入記録が正しいかのチェックは毎年しておきたいですね。
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