会社員、OLの年金はどうなる?年金制度の近い将来と私たちにできること
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2007年の年金問題からは時間がたちましたが、少子高齢化が進み構造的に年金財政が苦しいのは変わっておらず、むしろ厳しさを増しています。
そのため、現在現役世代の会社員やOLの人たちは「自分たちが年金をもらうころには年金はどうなっているのだろう?」と考えている人は多いと思います。
現在の年金制度を取り巻く状況から、近い将来年金制度がどうなっていくのか、またそれに対して私たちにどのような準備ができるか考えていきます。
保険料の増加は2017年を上限に固定される
- 保険料負担は2017年まで増加した後に固定される
- 税金の負担が高くなる可能性がある
- 実質の給付水準はすでに下がっている
日本の年金制度は「賦課方式」と呼ばれる現役世代が納めた保険料が、年金を受け取る世代の人たちに渡る世代間扶養の考え方によって運用されています。
自分で支払った保険料を積み立てるわけではないので、現役世代が少なくなり年金を受け取る世代が増えると、現役世代の保険料負担は重くなり、年金を受給する世代の受け取る年金が少なくなってしまいます。
日本の年金が賦課方式である以上、少子高齢化が進むと年金財政が苦しくなることがわかると思います。
賦課方式には物価の変動に左右されないというメリットがあるので、簡単に積立方式に変更するということもできません。
そのため、現状の年金制度で運用をしていこうと考えると、保険料の負担を上げるか年金の給付水準を下げるしかありません。
保険料の負担増と年金の給付水準の引き下げは現在すでに行われており、厚生年金保険料を決める保険料率は年々増加しています。
■厚生年金の保険料率の引き上げイメージ
出典:日本年金機構
■厚生年金保険料率の推移
年度 | 保険料率 |
---|---|
2010年 | 16.058% |
2011年 | 16.412% |
2012年 | 16.766% |
2013年 | 17.120% |
2014年 | 17.474% |
2015年 | 17.828%(予定) |
2016年 | 18.182%(予定) |
2017年 | 18.3%(予定) |
出典:日本年金機構
保険料率の増加は2004年の年金制度の改正で決まったことですが、同時に現役世代の保険料負担を上げすぎないために保険料率は2017年の18.3%を上限にしてそれ以上は上がらないようになっています。
年金の財源の一部には税金が使われていますので、年金支給額における国庫負担(税金)の割合が今後増加していくと、結局現役世代の負担が増え続けるという可能性もあります。
ただ、上図の通り現在の年金の給付水準を保とうとすると、もっと多くの保険料が必要になり、上限を定めると保険料が足りなくなります。
そのため給付水準を下げることも同時に行っています。
年金支給水準はすでに下がっている
- 実質の給付水準はすでに下がっている
元々公的年金は物価の変動があった場合も同じ生活水準を保てるように、物価の変動に合わせて年金支給額を増減させる物価スライド制を導入していました。
しかし年金財政が苦しいことから、物価の変動だけでなく現役世代と年金世代のバランスを考慮して増減率を決める「マクロ経済方式」が採用されるようになりました。
2014年は現役世代の減少分が0.6%、平均寿命の伸びが0.3%で合計0.9%調整されるので、仮に2%物価が上がっても1.1%しか年金が増えないことになります。
このように、今の日本の年金は物価が上がっても物価の上昇率ほど年金は上がらない状況になっており、実質的な年金の支給水準は年々落ちています。
また年金の支給開始年齢も現在の65歳から68歳へ繰下げられることが検討されていると言われており、真偽は定かではありませんが、さらに年金の支給水準が落ちる可能性もあります。
日本の公的年金は保険料負担は増え、支給される年金は少なくなっており、その傾向は今後も続くものと思われます。
年金は国の社会保険の柱ですので、破たんするというのは考えづらいですが、年金財政はかなり厳しい状況にあると言わざるを得ません。
私たちにできること
このような厳しい状況の中で私たちはどうしたら良いでしょうか。
どんなに年金財政が苦しかろうと、老後のお金の準備方法で最も効果的なのが公的年金であることには変わりません。ですので、公的年金の保険料を納めずに他の商品に投資をするというのは矛盾しており意味がありません。
なにより会社員の人は厚生年金保険料を支払わないという選択肢はありませんしね。
そのため、これからも老後のお金の一番大きな柱は公的年金になります。
私たちにできることは、給付水準が下がるであろう年金の穴を埋めるために確定拠出年金や厚生年金基金などの任意で加入する年金制度を活用するか、個人年金などの民間の保険で積極的に自分年金を準備することです。
前向きに考えると、どのみち公的年金だけでは老後の生活は厳しいので、さらに年金が厳しくなっても大丈夫なように早めに準備を始めるだけという姿勢で老後のお金の準備を進めていきたいですね。
いずれにせよ、効率的に老後のお金の準備を進める必要がありますので、税制優遇を活用して賢く老後の準備をする重要性が今後ますます高まってきます。
- 保険料負担は2017年まで増加した後に固定される
- 税金の負担が高くなる可能性がある
- 実質の給付水準が下がっていく
- 今後は任意加入の年金や自分年金の重要性が高まる
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