変額個人年金保険の特徴と加入すべき人

個人年金保険は契約時に年金額が決まっている定額型の個人年金のほかに、運用の結果に応じて年金額が増減する変額年金保険があります。

変額年金保険は運用の結果が良ければ支払った保険料を大きく上回る年金を受け取ることができる反面、株式市場で暴落などがあると大きく受け取る年金額を減らしてしまうリスクがあります。

受け取るお金が増減するという意味では、上級者向け、お金持ち（余裕資金）向けとも言えますが、変額個人年金保険の特徴や注意点を見ていきましょう。

変額個人年金保険の特徴

■変額個人年金保険の特徴

変額個人年金保険は、運用の結果によって受け取ることのできる年金額が増減する個人年金保険です。

個人年金保険は加入者から預かった保険料を、一定の運用利率で運用して保険料以上の年金を支払っていますが、変額年金保険は運用利率が実際の運用結果をもとに変動します。

あらかじめ年金額が決まっている定額個人年金の場合は、この運用利率を一定に定めて年金額を算出しています。

本来、運用の結果が100%決まっているということはないので、運用の結果に基づいて利率を変動させる変動個人年金はある意味で自然の摂理にあった商品といえます。一方で、運用結果が悪いと支払われる年金額が払込保険料を下回ることもあり、元本保証のない商品といえます。

一般的には景気が良いと運用の結果も良くなるので、年金額が増えます。そのためインフレで物価が上がった場合もそれに合わせて年金額が増えますのでインフレリスクに強い商品といえます。

変額年金も定額年金と同様に、有期年金、終身年金があり、被保険者が死亡した場合も一定期間は年金が支払われる保証期間をつけることができます。

受取期間については様々なタイプの年金保険から選択することができるので、自分の状況に合わせて年金の受取期間を選択することができます。

変額個人年金保険の注意点

■変額個人年金保険の注意点

上述した通り、変額個人年金保険は運用の結果に応じて受け取ることのできる年金が変動する商品ですので、運用の結果次第では元本を割り込む可能性があります。

元本を割り込むということは単純に損をすることになりますし、受け取れる年金の計算ができないという点も変額個人年金の難しい点です。

また、契約の途中で保険を解約した場合にも元本を割り込む恐れがあります。個人年金保険では中途解約控除という形で中途解約の際に中途解約手数料が差し引かれます。

保険料の運用利益が出ていなかったり、運用開始から間もない場合は中途解約手数料を引くと払い込んだ保険料を下回る分の返戻金しか戻ってきませんので、解約の際は注意が必要です。

さらに、全般的に手数料が高くなるという点も変額個人年金の注意点です。

収益を狙った高度な運用がされているため、運用のコストが高くなることが多く、保険料の中で支払う保険会社への手数料が高くなります。変額年金の場合、保険会社に支払うお金の中で保険料以外に諸経費という手数料を取られます。初期手数料として保険料の3%程度を取られたり、運用費用、保険維持費用、解約費用と様々な形で費用がかかります。

ですので、運用の結果年金が増えたとしても、自分で運用した場合と比べると、諸経費分は年金額が少なくなります。

自分で運用して運用のプロである保険会社と同じ運用結果が出るとは限りませんが、変額個人年金が高コストの商品であるということは理解しておいた方が良いでしょう。

変額個人年金はどんな人に向いている？

変額個人年金保険は、当サイトとしてはあまりおすすめできない商品ですが、あえてあげると余裕資金を運用するお金持ちの人や投資の知識のある上級者の人に向いた商品です。

変額個人年金は運用の結果によって受け取れる年金が変動するので、生活費など確実に用意したい老後のお金の準備方法としては向いていません。

老後の最低限の生活費の準備はできていて、余裕資金を使って収益をあげゆとりのある老後を目指したいという人に向いているといえます。

また変額個人年金は保険商品ではありますが、元本を割り込む恐れがあるなど投資商品の色合いが強い商品です。そのためある程度投資の知識のある人が投資商品の一つとして運用をするのに向いています。

とはいえ、手数料が高い点を考えると自分で運用した方が良い場合もあるので、個人的にはあまりおすすめできる人がいない商品といえます。

少なくとも知識があったりお金に余裕がある人が加入すべき商品だと思いますので、あまりリスクが取れない人や商品性が良く分からないという人は加入しない方が良いでしょう。

またよく分からずに変額個人年金保険をすすめてくる金融機関がいる場合は、冷静になって少し距離を置いた方が良いでしょう。