個人年金保険の必要年金額と負担する保険料の試算
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個人年金の必要性やメリットがわかっても実際にいくらくらいの年金を準備するのに、どれくらいの保険料を毎月納めていけばよいのかイメージがわかない人も多いと思います。
本記事では、公的年金の受取金額から必要な個人年金の額を考えて、必要な年金額をどれくらいの保険料負担で受け取ることができるのかをシミュレーションしてみたいと思います。
必要な個人年金保険の年金額の算出
老後の生活費
個人年金保険で用意する年金額は、老後必要になるお金のうち公的年金だけでは足りない金額ですので、まずは老後に必要となるお金ともらえる公的年金を想定しその差額を出します。
■老後に必要となるお金
- 一般的な老後の生活費 :月に約24万円
- ゆとりのある老後の生活費:月に約35万円
老後に必要となるお金は人それぞれですので、ここでは総務省が調査した一般的な老後の生活費といわれる月に約24万円と、ゆとりのある老後に必要といわれる月に約35万円を必要な生活費とします。
もらえる公的年金
次にもらうことのできる年金ですが、受け取ることのできる年金は現役時代の働き方によって大きく変わります。
■働き方による年金の違い
- 自営業夫婦:12.8万円/月
- 会社員夫婦:22.8万円/月
- 共働き夫婦:32.8万円/月
会社員として働いている人は、年金制度上は第2号被保険者と呼ばれ、厚生年金に加入することになります。自営業で働いている人は第1号被保険者として国民年金のみに加入します。
妻の年金は、妻自身と夫の職業によって変わり、共働きで妻も厚生年金に加入している会社に勤めている場合は夫と同じ第2号被保険者となり厚生年金を受け取ることになります。
妻が専業主婦の場合、夫が会社員の場合は第3号被保険者として保険料の納付が免除されて国民年金加入者と同じ年金を受け取ることができます。夫が自営業の場合は妻も同じ第1号被保険者として保険料を負担して老齢基礎年金を受け取ることになります。
このように、夫と妻のそれぞれの働き方によってもらえる年金も変化します。
まとめると、夫の年金は夫が会社員の場合は厚生年金を受け取ることができ、自営業の場合は国民年金のみ受け取ることができます。
妻は自分で会社勤めで働いている場合は厚生年金を受け取ることができ、その他の場合(専業主婦・自営業など)は国民年金のみ受け取ることができます。
不足額と必要となる個人年金の額
厚生年金は平均受給額16.4万円、国民年金のみの場合は満額の6.4万円を受給額とすると、自営業夫婦、サラリーマン夫婦(共働き)、サラリーマン夫婦(専業主婦)の夫婦の年金受給額はそれぞれ以下の通りになります。
タイプ | 夫の職業 | 妻の職業 | 世帯受取年金額(月額) | 不足額(一般的な老後) |
---|---|---|---|---|
自営業夫婦 | 自営業 | 自営業or専業主婦 | 12.8万円 | -12.2万円/月 |
会社員夫婦 | 会社員 | 自営業or専業主婦 | 22.8万円 | -2.2万円/月 |
共働き夫婦 | 会社員 | 会社員 | 32.8万円 | +7.8万円/月 |
自営業夫婦はかなり不利で、会社員の夫と専業主婦の妻の会社員夫婦の半分ちょっとしか年金がもらえないことになり、公的年金だけでは月に10万円以上赤字になってしまいます。
また自営業夫婦ほどではないですが、会社員夫婦も平均的な老後の生活をしようと思うと赤字になってしまいます。付き合いや孫など家族にお金を使うのも厳しくなるでしょう。
なお、上記の共働き世帯は夫も妻も両方が平均的な厚生年金を受給できることを前提にしていますが、出産や育児などがあると同じように昇給していくことはなかなか難しい状況があります。
妻が育児をしながら働いているという家庭であれば、妻が専業主婦の会社員夫婦と共働き夫婦の間くらいの年金額と考えておくと良いかもしれません。
必要となる個人年金保険の年金額と負担する保険料
先ほどの計算で公的年金だけでは老後の生活費を賄えないことがわかりましたが、不足があった自営業夫婦と会社員夫婦の場合、どれくらいの個人年金を準備する必要があるでしょうか。
不足している額から、必要な年金額や想定される負担額を試算すると以下のようになります。
不足額 | 必要年金額 | 総払込保険料 | 月の保険料 |
---|---|---|---|
-12.2万円/月 | 2,928万円 | 2,440万円 | 6.8万円 |
-2.2万円/月 | 528万円 | 440万円 | 1.2万円 |
※返戻率120%、年金受取期間20年、払込期間30年の有期年金として試算
個人年金保険は様々な種類があり、保険会社によっても提供される商品の条件が異なるので、一概には言えませんが、月に12万円不足のあった自営業夫婦が個人年金保険で不足額を埋めようとすると、月に6.8円を積み立てていく必要があります。
また月に2万円の赤字となる会社員と専業主婦夫婦が個人年金保険で赤字を埋めようと思うと月に1.2万円を積み立てる必要があります。
あくまで参考ですが、自営業の人であれば公的年金の保険料を支払った上で、これくらいの金額を準備しておかないといけません。自営業の人が会社員と自営業を単純な年収で比べて、同じくらいの手取りの人と同じ生活をしていると老後に落とし穴にはまる可能性がありますね。
また払込期間は30年で試算していますが、60歳から個人年金を受け取ろうと考えると30歳から払込を開始しないといけなくなります。
個人年金保険に加入する人の多くは、40歳以降に老後の生活が少しずつ身近になってから加入する人が多いです。加入するのが遅いと、必要な金額が同じ場合は毎月の保険料負担が重くなりますし、保険会社の運用の期間も短くなるので返戻率も小さくなります。
とにかく早めに始めた方が有利なので、「老後のことを考えながら現役時代を過ごしたくない」という人ほど、自動的に積立がされる個人年金を早めに検討されることをおすすめします。
- 自営業夫婦は公的年金だけだと月に12.2万円赤字になる
- 会社員の夫と専業主婦の妻夫婦は月に2.2万円赤字になる
- 老後のことを考えたくない人ほど早めに自分年金の検討を始める
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