個人年金保険の利回りの考え方と他の運用商品との収益性の比較

公開日:2014年11月11日

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個人年金保険は老後のお金を準備する際の方法として人気で、毎月お金を積み立てていくことで老後の年金の上乗せをすることができます。

「年金保険」という名称から、公的年金と同じような感覚で保険料を納めている人もいるかもしれませんが、お金を積み立てて増やすということをしているので、資産運用と同じようにどれくらいの利回りなのかという観点で保険をチェックした上で加入する必要があります。

個人年金保険の運用は保険会社のプロが行ってくれますが、条件次第では自分で運用をした方が有利なこともありますので、個人年金保険の利回りの考え方や自分で資産運用をした場合との比較をしていきたいと思います。


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返戻率ではなく年間の利回りで収益性を評価する

  • 個人年金保険の収益性を評価する場合、運用商品と同じ「年間利回り」で考える

資産運用をする上で、収益性を評価する指標として用いられるのは、投資から得られた利益が投資元本の何%にあたるかを表す「利回り」ですが、一般的に利回りというと「1年間」で何%の利益を生んだかを表す「年間利回り」を意味しています。

個人年金保険の収益性は、払い込んだ保険料に対して年金受取総額がどれくらいの割合になるかを示す「返戻率」で表すことが多いです。

個人年金保険の返戻率は商品によっても異なりますが、110%から120%程度のものが多くなっています。

返戻率が110%から120%というと、360万円の保険料を払い込んだ時に396万円から432万円が年金として受け取れることになるので、収益性も高くお得に感じるかもしれませんが、他の運用商品と比較する場合は返戻率を年間利回りに直して考える必要があります。

返戻率120%の個人年金保険として、30年間毎月1万円ずつ積み立て総額360万円の保険料を払い込み、受け取れる年金の総額が432万円の商品があったとすると、投資元本360万円を期間30年で432万円に増やしたと考えると、単純計算で年間0.67%の利回りになります。

  • 期間:30年
  • 総払込保険料:360万円
  • 受取年金総額:432万円
  • 返戻率:120%
  • 年間利回り(単純計算):0.67%

元本保証のある銀行の定期預金でも期間が10年あれば、0.6%程度の金利を出しているので、定期預金の利回りとそう違わないことがわかります。

保険会社が破たんした時のリスクがある個人年金と、1,000万円までなら金融機関が破たんしても預金が保護される定期預金では定期預金の方が安全性が高いと言えるので、個人年金保険の収益性は定期預金を上回っていないとうまみがなく、収益性は悪いといえます。

このように個人年金保険の利回りは他の運用商品と比べると低くなっていることが多く、商品によっては定期預金の金利水準よりも低いこともよくあります。

個人年金保険は利回りが決して高くないことは、個人年金保険に加入する際に理解しておきたいデメリットやリスクの一つと言えます。


個人年金保険料控除で実質的な利回りアップ

個人年金保険の商品自体の利回りはそれほど高くありませんが、個人年金保険は税制優遇を受けることができるので、実質的にはかなりお得になることが多いです。

個人年金保険の保険料は「個人年金保険料控除」の対象になります。

個人年金保険料控除は、一定の要件を満たす個人年金に加入している場合、払いこんだ個人年金保険の保険料の金額に応じて一定の所得控除を受けることのできる制度です。

  • 個人年金保険料控除により、個人年金保険の保険料は一部所得から控除されて所得税、住民税の対象外になる

個人年金保険料控除によって控除される所得の上限は年間4万円ですので、仮に4万円が控除の対象になると所得税、住民税を合わせた税率が30%の人の場合、4万円×30%で1万2千円の税金が徴収されなかったことになり得することになります。

この効果が30年続くと36万円を得することになり、上述した例の個人年金保険に税制優遇の効果を加味すると、1.0%の利回りで運用されたのと同じことになります。

個人年金保険料控除は最大で4万円ですので、投資元本が増えていくにつれ利回りは落ちていくことになりますが、それでもかなり実質的な利回りを押し上げる効果があります。個人年金保険料の上限は年間払込保険料8万円の時に4万円まで所得控除を受けることができますので、ぜひ活用したい制度です。

個人年金保険は死亡給付金があるなど保険としての機能もあり、単純に利回りだけで他の運用商品と比較することは難しいと思いますが、個人年金保険特有のメリット・デメリットと運用商品としての利回りの評価をきちんとした上で加入を検討すると良いと思います。


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