公的年金、株式運用の上限撤廃と株式市場への影響

公開日:2015年2月5日

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

2014年の8月に公的年金の運用における国内株式の保有比率の上限が撤廃されました。

これまで国内株式の保有比率は最大でも18%までと決まっていましたが、この上限が撤廃され18%を超えても買い増しをすることができるようになりました。

ニュースで聞いたことがある人は多いと思いますが、上限が撤廃されることで私たちの年金資産や株式市場にはどのような影響があるのでしょうか。


[スポンサーリンク]

GPIFによる運用資産の比率

公的年金の運用は年金積立金管理運用独立行政法人という組織が行っており、通称GPIFと呼ばれています。最近のニュースでGPIFという単語を聞いた人も多いと思いますが、正式名称はとても長い名称ですね。

GPIFは年金資産を主に安全資産である国内債券をメインに運用しており、2014年3月末では以下のような資産構成の割合になっています。

■GPIFの資産構成の割合
unyoushisan01
出典:年金積立金管理運用独立行政法人

資産内訳を見ると、最も多い国内債券が55.4%、国内株式が16.4%、外国株式が15.5%、外国債券が11.0%、短期資産が1.4%となっています。

株式運用の上限が撤廃されたことにより、16.4%の国内株式の割合が増えていくことが予想され、債券の比率が現在の60%弱から40%台にまで低下すると言われています。

つまり、年金資産の運用において、リスクはあるものの高いリターンを期待できる資産にシフトしていくことになります。

積立金の利回りは高い方が良いですが、その分年金資産はリスク資産で運用されるのでリスクを負うことになり損失が発生する可能性もあります。


株式市場に数兆円の資金流入が予想される

国内株式の運用比率の制度上の上限は撤廃されますが、すべてが株式になるというわけではもちろんなく、国内株式の運用比率は今後20%台まで高められると言われています。

上記の国内株式の比率が16.4%ですので、仮に25%まで運用比率が上がると9.6%比率が上がることになり、年金積立金の総額が約130兆円ということを考えると約12.5兆円の国内株式がGPIFによって購入されることになります。

黒田日銀による「異次元の緩和」と言われたETFの買い入れでも1年間で1兆円ですので、10兆円を超える金額が株式市場に流れることの影響の大きさがわかると思います。

もちろんGPIFの国内株式の購入は短期間ではなく、市場への影響や運用資産の損益を考えて慎重に行われるのでしょうが株式市場にとっては堅調に買い支えてくれる主体が現れることは確実にプラスになります。

株価が上がる要因になりますので、証券関係者の間ではGPIFの運用資産の株式の比率上限の撤廃は大きなニュースとして注目されていました。

一方で年金資産はリスクにさらされることになります。現在は日本の株価はアベノミクスにより上昇トレンドですが、長期的に見ると株価が大きな下落をすることもあるので、今後大きな損失が発生する可能性は十分にあります。

年金資産が将来増えているか減っているのかは未来にならないとわかりませんが、決してプラスだけのニュースではないことを理解しておかないといけません。


自分にあったお金の相談相手を見つける

老後のお金に対する不安を解消するには専門家に相談するのが一番で、特定の金融機関に属さないFPは大切なお金のことを相談する相手にぴったりです。

住んでいる地域や年齢、家族構成から自分にあった相談相手を探すことができるので、簡単に無料相談ができます。

FPを探して無料相談

サブコンテンツ

このページの先頭へ