適格退職年金の意味と廃止について

公開日:2015年1月27日

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企業の退職金制度の一つとして適格退職年金という制度が2012年3月末までありました。

現在は廃止されている制度ですが、一部は税制上の措置を継続されている人もいますし、現在の企業年金制度や確定拠出年金制度の誕生にも関わっており重要ですので、ここでは適格退職年金の概要や廃止となった理由などを見ていきたいと思います。


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適格退職年金の概要

適格退職年金とは企業年金のための積立金を信託銀行や保険会社などに積み立て、企業年金の運用を行っていくものです。退職者は適格退職年金を受託した金融機関から年金や一時金を受け取ることになります。

年金の給付水準は自由に設定することができ、有期・終身・確定といった年金の種類も制約がないため、企業に合わせた自由な制度設計が可能な年金制度ということもあり、厚生年金基金と並んで普及していた企業年金制度でした。

厚生年金基金と似ていますが、厚生年金基金が特別法人を設立するのに比べて、適格退職年金は企業年金契約を金融機関が受託する形をとっているので、少人数で設立することができるなどのメリットがあり、中小企業に人気のあった制度です。

適格退職年金が導入されるまでは、企業が社外に積立をしていると従業員の給与として課税がされていました。

それでは税負担が重くなることから企業から要望があり、一定の要件を満たした場合は社外積立であっても、給与として所得税はかからず課税は繰り延べられ、掛金は全額損金算入されるなど税制優遇を受けることができるようになりました、

一定の要件を満たすことで税制優遇を受けることができることから、「適格」退職年金という名称になっています。税制適格退職年金や適年などの名称でも呼ばれていました。


適格退職年金が廃止になった理由

■適格退職年金が廃止になった理由

  • 積立金の不足
  • 管理・監督体制が不十分

適格退職年金が廃止された理由として、積立金が不足していたという問題がありました。適格退職年金は運用の結果に関わらず契約時に年金の金額が決まっている「確定給付」型の年金制度です。

受託する金融機関は給付額と運用による予定利率に基づき必要な拠出額を計算し、企業が掛金を拠出することになります。

運用を行う保険会社や信託銀行は加入企業を増やすために、高めの利率で見積もり少しでも安い掛金で加入ができるようにしていました。

運用利率の高い頃であれば問題はありませんでしたが、バブルがはじけた90年代からは当初の利率での運用は難しくなり、結果として掛金不足が深刻な問題となりました。

このようなことから本来必要な積立金の半分しかない適格退職年金もありましたが、管理監督体制が不十分だったことから掛金不足を早い段階で是正することができず、掛金不足の問題をさらに深刻化させてしまいました。

そのような厳しい運用環境の中で制度継続が困難となったため、廃止が議論されるようになりました。

結果、2002年に確定給付企業年金法が施行され、企業が拠出から運用、管理、給付までを責任を持って行う「確定給付企業年金」が誕生することになり、適格退職年金は2012年に廃止されることになりました。

廃止にあたっては10年間の移行期間がとられ、適格退職年金は「確定給付企業年金」「確定拠出年金」「中小企業退職金共済」「厚生年金基金」のいずれかに移行することになりました。

■適格退職年金の移行先

制度廃止までに解散・終了となった適格退職年金は約4割と言われ多くの企業年金がなくなったと言われていますが、他の年金については受け皿となる他の制度に移行がされていきました。


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