高齢者1人に対する現役世代の人数と現役世代の負担割合

公開日:2014年11月7日 最終更新日: 2015年7月3日

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現在の日本の公的年金制度は、納めた保険料は自分のために積み立てられているわけではなく、現在の年金受給者の年金として支払われています。逆に今年金を支払っている人たちが年金を受給する年齢になった時には、その時の現役世代の納めた保険料から年金が支払われます。

このような現役世代が年金受給世代を支える形を「賦課方式」といい、日本の公的年金は賦課方式で運用されています。

現役世代が年金世代を支えているとなると、気になるのは少子高齢化で、支える現役世代と支えられる年金世代のバランスがどのように変化しているかだと思いますので、本記事では高齢者1人に対する現役世代の人数の変化を見ていきたいと思います。


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高齢者1人に対する現役世代の人数

日本の年金制度は現役世代が年金世代を支えているので、どれくらいの人で高齢者を支えているのかを示す指標として、「高齢者1人に対する現役世代の人数」がよく用いられます。

「高齢者1人に対する現役世代の人数」は1960年には5.1人でしたが、2010年には2.6人、2014年には2.2人となっており、高齢者を支える現役世代の人数はここ50年で半分以下になっていることがわかります。

以下の人口ピラミッドを見ると、現役世代が減り高齢者が増えていく様子がわかりやすいと思います。

■人口ピラミッドと高齢者1人に対する現役世代の人数
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出典:国立社会保障・人口問題研究所

日本の少子高齢化は進んでいく一方ですので、国立社会保障・人口問題研究所の試算によると、2060年には65歳以上の人口は3,464万人となり、全人口の4割近くを占めることになり、1.2人の現役世代で1人の年金受給者を支えていかなければならないことになります。

1.2人の現役世代で1人の高齢者を支えるというのは、現在の水準のさらに半分ですので、単純に考えると現役世代の負担は倍になります。

ここまでに見ていくと、公的年金というのはもう崩壊しているのかと思う人もいるかもしれませんが、実際はそんなことはありません。


年金の半分は税金でできている

現在、年金の支払いには、現役世代が納めた保険料のほかに一部税金が使われています。しかも年金支給額の半分は税金から支払われています。

税金から支払われるということは、年金保険料が減っても税金の割合を増やすだけですので、「年金がもらえなくなる」「年金制度が破たんする」という事態はまず考えられません。

さらに税金から年金が支払われていると、年金未納者も年金受給者のためのお金を実質的に負担していることになります。保険料を納めていないと将来年金はもらえないので、年金未納者は、「税金分の負担だけして将来は年金がもらえない」ということになり、年金未納者は損をすることになります。


少子高齢化の負担は全世代で分け合っている

また、若者にだけ負担がかかっているという意見もありますが、少子高齢化による年金財政の悪化は日本全体の問題ですので、現役世代だけでなく全世代で分け合っています。

年金の一部を税金から支払われているということは、年金受給者も税金を負担しているので、自分で自分の年金を支払っていることになり、実質的な給付水準は下がっているといえます。

さらに、実際の給付水準の抑制も進んでおり、これまで物価の変動に合わせて年金支給額も増額されていたものが、現役世代の減少率や寿命の伸び率も考慮して計算されることで物価の伸びほど年金が増額されないようになっています。

消えた年金問題や宙に浮いた年金問題のように、国のずさんな管理で年金が減るのは許せませんが、少子高齢化によりもらえる年金が減ったり、現役世代の人の負担が増えるのは、構造上の問題なので仕方のないことです。

昔の人は良かったと言っても仕方ないので、今の人口構成における適正な年金をもらえるように年金保険料をきちんと納めて、足りない分は自分で準備をしていきましょう。


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