年金確保支援法の概要と後納制度が恒久化されない理由

公開日:2014年10月27日

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年金確保支援法とは

年金確保支援法とは、平成24年10月から3年間に限り、これまで未納だった保険料を10年までさかのぼって後納することを可能にした法律です。

  • 年金確保支援法は、3年間限定で未納分の保険料をこれまでの2年から10年までさかのぼって納付することを可能にした法律

これまでは事後納付することができたのは過去2年間に納付期限を迎えた保険料だけでしたが、年金確保支援法が施行されたことにより、3年間という期間限定ではありますが10年前の保険料を納付することができます。

公的年金の受給資格を得るには25年間の納付記録が必要になっています。そして25年に1か月でも満たない場合には年金を1円ももらうことができません。

過去2年間に滞納していないと、保険料を追加で納付して受給資格期間を増やすことができませんので、経済的には保険料を納付することができるのに、「払いたくても払えず」年金の受給資格を失っている人がいました。

また年金保険料の納付期間に応じて、もらえる年金額も増えるので、少しでも老後にもらえる年金を増やしたいと考える人もいます。

年金確保支援法はこのように「保険料を払いたくても払えない」人のために、過去にさかのぼって保険料を支払える期間を広げたものです。

このように過去に滞納した保険料を後から支払うことを後納といい、10年間までさかのぼって支払うことが出来る制度を「国民年金保険料の後納制度」といいます。


年金確保支援法が恒久化されない理由

過去滞納した保険料を10年までさかのぼって支払うことができる後納制度は、滞納している人にとっては年金の受給資格を得ることができ、受給資格がある人にとっても年金を増やすことができるとても良い制度のように思えます。

良い制度であれば、3年間の時限制にせずに恒久的に10年前まで保険料の納付を可能にすれば良いではないかと思いますが、そんなに簡単な話ではないようです。

■年金確保支援法が恒久化されない理由

  • モラルハザードへの懸念
  • 滞納者救済による年金財政の悪化への懸念
  • 受給資格期間短縮(25年→10年)との兼ね合い


モラルハザードへの懸念

まず国が懸念しているのは、モラルハザードの問題です。

後納制度が恒久化することで「いつ納めても大丈夫」という気持ちになり、結果的に保険料の滞納を招くのではないかということですね。

少しでも滞納を減らしたい国としては、後納制度を恒久化することで逆に未納率が増えてしまっては元も子もないので、恒久化に対して慎重になっているのですね。


年金財政の悪化への懸念

また、後納制度を活用することで年金受給者を増やすことができますが、年金受給者が増えるということは年金財政の悪化につながる懸念もあります。

上述した通り、年金の受給資格期間が25年に満たない人には1円も年金が支払われません。

滞納者には年金を1円も払わなくて良かったものが、死ぬまで年金を支払わないといけなくなるので、当然財政は厳しくなります。ただでさえ厳しい年金財政を、滞納者の救済のためにさらに厳しくするとなると、これまで保険料をまじめに支払ってきた被保険者達からの反感を買うことになります。


受給資格期間短縮との兼ね合い

さらに、年金受給資格期間についても、現在は25年ですが、これを早ければ2015年の10月にも10年に短縮するという案が出ています。

滞納者が受給資格を得ることができるように後納制度を始めたのに、その受給資格自体を短縮することになると、すでに何が何だかよく分からない状態です。

後納制度と受給資格短縮を並行して行うと、さらなる混乱が予想されますので、後納制度の延長や恒久化は年金の受給資格期間の短縮との兼ね合いを考えて、行われていないのではないかという意見があります。


私たちにできるのは保険料を納めること

いずれも推測ではありますが、国民年金の滞納が多いことは国の大きな問題であり政府も認識しています。そのため、今後はより年金を受け取りやすくなり、その分保険料をきちんと納めるという制度に移行していくものと思われます。

とはいえ、未来を考えても仕方がなく、老後のお金を準備するという観点では、第1号被保険者の人はまず国民年金を納付するというところが一番で、私たちにできることは年金保険料を支払うことしかありません。

年金の受給資格を得る、少しでも年金を多く受け取るために保険料をきちんと納付していきたいものですね。


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