個人年金の相続・贈与時の二重課税の問題と還付してもらう方法

公開日:2015年1月6日

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個人年金を相続や贈与で取得した場合、年金受取開始時に相続税、贈与税がそれぞれかかりますが、毎年受け取る年金に対しても所得税がかかります。

このような課税の方法に対して、同じ年金に対して相続税も所得税もかかることから、二重に課税がされているのではないかという議論がありました。

  • 相続した個人年金は相続税と所得税が両方かかる「二重課税の状態」となっていた

遺族が受け取る年金形式の保険金が相続税と所得税の二重課税となっている問題は2010年に裁判で争われ、「二重課税で違法である」という最高裁の判決が出ました。

判決を受けて所得税の扱いが一部変更になり、これまで税金を二重で支払っていた人には所得税の還付がされています。


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税金の還付が受けられる人

相続税と所得税が二重に課税されているとして、還付の対象となるのは以下の年金を相続によって取得し年金を受け取っていた人です。

  • 個人年金保険(変額年金含む)
  • 年金形式で受け取る死亡保険金
  • こども保険の養育(育英)年金

税務上の取り扱いが変わった平成22年から過去5年分の還付を受けることができ、該当する年に確定申告をしている人は「更生の請求」、確定申告をしていない人は「確定申告」をすることで還付の手続きをすることができます。

保険会社からも対象者へ通知がされているので、思い当たることがある人は速やかに還付の手続きをしたいですね。

還付を受ける際には以下の書類が必要になります。

  • 年金の受給期間、受給総額がわかる書類(保険会社からの通知)
  • 還付金の振込先金融機関情報
  • 印鑑
  • 確定申告をしている場合:確定申告書の控え
  • 確定申告をしていない場合:源泉徴収票、各種控除書類

なお、基本的には贈与についても同様で、平成22年から過去5年の間に贈与税と所得税を両方支払ったという人は還付される可能性が高いので、税務署等に確認をした方が良いですね。


取扱い変更後の相続税、所得税の考え方

上述した最高裁の判決を受けて、平成22年10月から相続や贈与によって取得した年金の税務上の取り扱いが変更されています。

これまでは相続した年金であっても通常の私的年金と同じように、毎年の受け取った年金すべてが所得税の課税の対象になっていました。

しかし変更後は、毎年受け取った年金のうち相続した元本部分(変更後の図の白色部分)は所得税の対象とせず、運用によって得られた利益が上乗せされている部分(変更後の図の緑色部分)についてのみ所得税が課税されるようになりました。

■相続、贈与で取得した年金の所得税課税方法のイメージ
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出典:生命保険文化センター

これまでは元本部分についても所得税が課税されていましたので、上図の白い部分が二重課税されていて還付の対象になっています。

二重課税の考え方や還付される金額はわかりづらいですが、要は平成22年以前に相続または贈与をして保険金を年金形式で受け取っている人は還付の対象になっているので、心当たりのある方は速やかに手続きをした方が良いです。

あまり時間が経過すると還付されない可能性もあるので注意しましょう。

なお、平成23年に相続税、贈与税の対象資産の評価方法が変更になっています。平成23年4月1日以降に相続・贈与があった場合の年金の評価の方法はこちらで紹介しています。


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