離婚したら夫の年金が半分もらえるという誤解といくら年金が増えるか調べる方法

公開日:2015年2月27日

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2007年と2008年に「合意分割」と「3号分割」という離婚時の年金分割制度が開始しました。

それまでは離婚をするとそれぞれの年金を受け取ることになるので、専業主婦の場合は国民年金分(772,800円)しか受け取ることができませんでした。

それが夫の厚生年金加入期間を分割することができるようになったので、メディアなどではわかりやすく夫の年金が半分もらえるようになると報道されていたため離婚しても夫の年金が半分もらえると考えている人も多いようです。

実際の年金制度を見て計算すると多い人でも月5万円程度しか年金が増えませんので、年金をあてにして離婚をしようとしている人は注意が必要です。


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3号分割と合意分割

  • 合意分割:離婚時に夫婦で厚生年金の分割割合を決める
  • 3号分割:離婚時に自動的に夫の厚生年金を半分に分割する

まず2007年に開始した合意分割は2007年4月以降に成立した離婚が対象となり、婚姻期間中の厚生年金の報酬比例部分について夫婦で分割割合を決めるというものです。

妻が専業主婦だった場合の分割割合は0%~50%となります。合意が難しい場合は家庭裁判所が分割割合を決めることになります。

分割割合が決まったら離婚後2年以内に年金事務所へ合意内容を記載した公正証書を提出することで夫の厚生年金加入記録が妻のものになります。

ここで注意したいのは夫の国民年金や企業年金分は分割の対象にはならず、あくまで厚生年金の報酬比例部分のみであるという点です。大手企業に勤めている人の場合、企業年金が手厚くなっていますが、あくまで夫の年金の一部が分割対象となります。

また分割がされた後に年金が受け取れるのは妻が年金受給開始年齢に達してからです。年の差がある夫婦で夫が年金受給開始年齢になっていたとしても妻が年金をすぐにもらえるわけではないという点は理解しておいた方が良いでしょう。

■合意分割の注意点

  • 分割対象は厚生年金の報酬比例部分のみで国民年金、企業年金は含まれない
  • 年金を受け取れるのは妻が年金受給開始年齢に達してから

3号分割は2008年4月以降に成立した離婚を対象としていて、妻が第3号被保険者だった期間の夫の厚生年金の報酬比例部分を、夫の合意がなくても自動的に2分の1に分割して受け取れるという制度です。

夫の合意が必要だった合意分割と比較して、自動的に2分の1を受け取ることができるので妻にとっては良い制度であるといえますね。

ただし自動的に分割されるのは2008年4月以降の夫の厚生年金となり、それ以前の厚生年金加入期間については夫の合意が必要になります。

妻にとって将来的には良い制度ですが、現在結婚している人たちにとっては2008年4月以降の期間というのはわずかな期間ですので、大半の期間については年金の分割には夫の合意がいるということになります。

また分割された年金は妻が年金を受け取る際に加算される形になるので、妻自身が年金の受給資格をもっていない場合には分割された年金を受け取ることができません。

分割された期間を妻の受給資格期間としてカウントすることもできないことも覚えておいた方が良いですね。

■3号分割の注意点

  • 自動的に分割されるのは2008年4月以降の期間
  • 分割の対象となる期間は妻が第3号被保険者だった期間
  • 妻に年金の受給資格がないと分割しても年金は受け取れない
  • 分割された期間は受給資格期間に含めることはできない


離婚した場合に増える年金はいくら?

離婚して年金がいくら増えるかを正確に調べるには戸籍謄本と夫婦の年金手帳をもって年金事務所で手続きをすることで調べることができます。

内容は請求者にのみ通知されるので夫に知られることはありません。

なお、離婚分割によって増える年金額は、仮に夫の平均標準報酬月額が38万円であった場合、厚生年金の報酬比例部分は106万円になりますので最大でその半額の53万円程度になります。

年間53万円だと月に約4.4万円となり、「夫の年金の半分!」と考えている人にとっては少ない金額に感じるかもしれません。

上述した通り、分割の対象となるのは婚姻中の期間ですので、全期間が対象とならないこともありますし、半額をもらうには夫の合意が必要になるので、現実にはもっと少なくなる可能性も高いでしょう。

また夫婦の年金という意味では加給年金振替加算は離婚をするともらえなくなってしまいますし、離婚後は遺族年金を受け取ることもできません。

離婚をすると分割をする人もされる人も厳しい状況になりますので、年金の面から見ると離婚すると損をするということになります。

離婚をする場合、離婚後の生活費は非常に重要な問題ですので、ある程度のめどがつかないようであればまずは生活費をどう準備するかを考えた方が良さそうですね。


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